清水愛海が抜群の安定感で快勝した。コンマ09のトップスタートを決めて先制。3コース仲道大輔の果敢な攻めにも動じず、逃げ切った。「スタートも全速で行って、自信を持って回ることができた」。その安定したターンに、荘林幸輝実技教官も「うまかった。普通の女子ならまくられているところ」とうなった。

父の知り合いだったボートレーサーを通じて、ボートレースを知った。「母子家庭で育ったので、高収入というのが一番の志望理由」。家族を支えるため、レーサーを志した。

レース後、最初に見せたのは笑顔ではなく涙だった。「(決定戦で)無事故完走ができなかったのは、チャンプ決定戦に出た選手の責任でもあると思う。悔しい気持ちの方が大きい」。自分の勝利ではなく、仲道大輔の転覆を気にした。訓練中も常に期全体を引っ張ってきた、人一倍責任感が強い性格が出ていた。

訓練では、特に積極性が高かった。荘林教官も期待を寄せる。「歴代で一番こけた。転覆、落水合わせて45回。でも、それくらい握って、良くハンドルが切れていた」。事故を恐れない姿勢で成長を続けた。デビュー戦は11月2日からの徳山一般戦を予定している。「フライングをせず、少しでも経験を積んで、先輩レーサーに追いつけるように頑張りたい」。初めてのプロの舞台に意気込んだ。