渡辺伸太郎(53=佐賀)が今節2勝目をマークした。出番は5R1枠の1回走り。1コース発進から逃げ切り、3日目同様イン戦をものにした。

「インなら勝たないとね…。舟足は節間ずっと変わらず直線が弱いけど、それよりも回ってからはもっと良くない。1コースはしのげても、それ以外だと引き波を越え切らない」と、思い通りにならない機力のポテンシャルの低さを、お手上げポーズで表現した。前日の4日目も「35年間積み上げてきた引き出しを全て開けたけど、もう分かりません」と話していた。

通算30度の優勝を誇る猛者。徳山だけでも3度の優勝歴があり、その徳山での調整力やエンジン出しには定評がある。それだけに整備室で作業する渡辺の険しい表情からは、今節の厳しさを感じる。

渡辺はここ最近、金色に光り輝くスニーカーを愛用していた。工具セットを持った渡辺が、ピットをお気に入りのスニーカーで歩く姿は、ボクシングのチャンピオンのようだった。ところが今節、足元にはなぜか見慣れない色が…。「あれは前節で壊れちゃいました」と赤いスニーカーを履いている理由を明かした。愛用していた金色のスニーカーは「星野太郎君がプレゼントしてくれたもの。またプレゼントしてくれないかな~」と、いたずらっ子のような笑みを浮かべた。

足元の乱れ? は舟足の乱れにつながるのか…。首を長くして、星野からの届け物を期待しているおちゃめな渡辺は、最終日は2R3枠と6R6枠の2回走り。次走は11月3日から始まるG1常滑周年に出場し、その後も津の周年へのあっせんとG1戦線が続く。星野からぴかぴかの新しいスニーカーが届く前に、浮上のきっかけをつかんで帰りたい。