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97年ダービーVの大西氏が育成牧場で奮闘

NOレーシングステーブルで育成馬の調教を見守る大西氏
NOレーシングステーブルで育成馬の調教を見守る大西氏

 ダービージョッキーが新たな1歩を踏み出した。サニーブライアンで97年のダービーを逃げ切った大西直宏氏(50)が美浦近郊に自身名義の育成牧場「NO(エヌオー)レーシングステーブル」をスタートさせた。2月1日の開場から4カ月、調教だけでなく厩舎作業もこなしながら日々奮闘している。現在は7馬房の小規模経営だが、いつの日か大レースに育成馬を送り込む。

 朝もやが残る午前5時、美浦トレセンから車で10分ほどの場所にある厩舎の一角には、一心不乱に仕事に打ち込む大西場長の姿があった。スタッフに指示を出しながら、自ら預託馬にまたがり調教をつける。それだけではない。馬糧庫でカイバを調合したかと思えば小走りで馬房に向かい、慣れた手つきで寝わらを取り換える。新しいわらを丁寧に敷き直して、また次の馬房へ。「こういうの、意外と好きなんですよ。苦にならないんです。それに、まず自分が先頭に立ってやらないと」。紺色のポロシャツに汗がにじんでいた。

 29馬房ある共用厩舎のうち7馬房を借り受け、今年2月1日に開業した。06年の引退後は民間の競馬専門学校で人材育成に尽力したが、その一方で、人だけでなく馬も育てたいという思いを捨て切れずにいた。決定打になったのは、知人の牧場を手伝った時の出来事。「学校でも乗用馬には乗っていたんですが、騎手をやめてから本当に久しぶりに競走馬に乗ったんです。それが懐かしくて、楽しくて…」。決断までに多くの時間はかからなかった。

 開業から4カ月。決して順風満帆といえるスタートではなかった。「何とかなるかなと思って始めたら、最初は全然馬が集まらなくって(笑い)。本当に大変でしたよ」と振り返る。現在は7馬房すべてに預託馬がいるが、うち2頭が乗用馬と経営は決して安泰ではない。馬集めに追われる日々。必然、開業後は1日も休日を取っていない。それでも「スタッフを休ませないといけないので僕が出勤します。でも、全然つらくないですよ。当たり前のこと」と意に介さない。

 自身のイニシャルから名付けたこの牧場で、20歳前後の若いスタッフ3人と共に汗を流す。「腕のいい乗り手を探す手もあったんですが、うちのやり方を一から教えたかったんです。馬も人も育てる。たとえ数年かかってもいい」。ぶれない姿勢は現役を退いても変わらない。「まずはお客さまに出して良かったな、と思われる牧場にしたいですね。そして少しずつ馬房を増やして、牧場を大きくしていきたいです」。第2の人生は新しいステージへ。今度は裏方として再び大舞台を踏むその日まで、ダービージョッキーは堅実な仕事を積み重ねる。【松本岳志】

 [2012年6月5日8時53分 紙面から]




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