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武豊と池江師が幼なじみ対談/凱旋門賞

幼なじみの武豊騎手(左)と、池江師
幼なじみの武豊騎手(左)と、池江師

 世界一の座を奪い合うのは、幼なじみの2人だ。いよいよ今週末に迫った凱旋門賞(G1、芝2400メートル、6日=ロンシャン)を前に、キズナ(牡3、佐々木)に騎乗する武豊騎手(44)と、オルフェーヴル(牡5、池江)を管理する池江泰寿調教師(44)が、頂上決戦を前に日刊スポーツ紙上で対談。互いを知り尽くした同級生2人が、少年時代から現在までを語り尽くした。

 競馬界の第一人者として今週末に世界一へ挑む2人は、スピードシンボリが日本馬初の凱旋門賞出走(着外)を果たした1969年(昭44)に生を受けた。ともに早生まれで同学年。トレセンのある栗東で育ち、父が騎手から調教師へ転身したのも共通点だ。まずは金勝(こんぜ)小学校時代から振り返ってもらった。

 武豊 学校で2人が会えば競馬の話ばかりしていた、気持ち悪い小学生やった(笑い)。小1か小2のころはトウショウボーイとかテンポイントとかが好きで「あの馬が強いんやないか」「いや、俺はあっちの馬が強いと思う」とかいう話をしていた。ヤストシのお姉さんと俺の兄貴が同級生でね。家に遊びに行くこともあったなあ。

 池江 ユタカはどんなスポーツをやっても抜群にうまかったね。野球をやらせても守備が華麗で、グラブさばきがきれいやったのを覚えてる。

 武豊 俺はスポーツが何でも好きやったからね。乗馬クラブに入る5年生までは、ずっと野球をやっていた。外野、セカンド、ショート。小さかったからポジションはそのへんやったかな。ヤストシは勉強ができて、成績も良かったね。

 10歳になった2人は、トレセンの乗馬苑へ通い始めた。馬を見ない日がないような環境にあっては、当然のなりゆきだった。ただ、取り組む姿は対照的だったらしい。

 池江 俺は5年生の時に調教師になりたいと思って、当時は助手から調教師になれるとは思ってなかったから「騎手にならないと」と考えて乗馬を始めた。

 武豊 ヤストシはきっちりした性格でまじめにやってたし、先生の言うことをよく聞いてうまかった。俺はようサボってたし、テキトーにやる方やったわ。

 池江 子供の乗馬というのは力で御せるかどうかというところがある。俺は体が大きかったから力で御すことができたし(乗馬クラブで)キャプテンもやってた。ユタカはきゃしゃで小柄やったから、力でなく(馬への)当たりでコントロールしてた。当時からそういう経験をしたことで、技術で動かすというか、最小の扶助で馬を動かすという意識がついて、今のユタカがあるんやないかな。

 世界制覇など思い描いてはいなかった。まだ海外遠征さえ珍しかった時代。頂上決戦たる凱旋門賞は、あこがれの対象ですらなかったという。

 武豊 「優駿」とか競馬雑誌をいつも見てたから、凱旋門賞も写真とかで知ったんやないかな。「かっこいいな」「こういうレースがあるんやな」と思った。でも、当時は現実味が全くなかったし、別世界のものやった。

 池江 小3の時にオヤジ(泰郎元調教師)に、スピードシンボリの写真を見せてもらったのが最初。雲の上の存在というか、ダービーでさえ雲の上の存在やったからね。まさか自分が出走馬を送り込む日が来るなんて想像もしなかった。

 2人は栗東中学卒業を分岐点に別々の道を歩んだ。技術を磨いた武豊は、競馬学校生から騎手へ。体格が大きくなって騎手を断念した池江師は大学生から調教助手を経て調教師へ。それぞれの領域で頭角を現し、日本一にまで上り詰めた。

 そして今年、少年時代には夢にも思わなかった世界一決定戦へ、ともに有力候補として挑む。15日の前哨戦では武豊がキズナでニエユ賞を制し、池江師がオルフェーヴルでフォワ賞を連覇。そろって悲願へ王手をかけた。現地では何度か食事をともにしたが、いつも通りに競馬以外の話題が続いたという。世界最高の舞台で迎える幼なじみとの対決を前に、胸の内にはどんな思いがあるのか? 返ってきた答えは同じだった。

 武豊 いや、特別な思いはないわ。「俺を乗せろよ」かな(笑い)。まあ、去年ブリーダーズカップ(トレイルブレイザー=4着)に乗せてくれたけどね。

 池江 感慨はないなあ。20年前ぐらいならあるかもしれんけど(日本馬にとって凱旋門賞出走が)もう当たり前のことになって、有力馬の秋のローテーションの1つとして組み込まれてる。そういう意味で特別な感情はない。でも、そうやってローテに組み込まれてること自体が日本競馬の発展の証し。今は(海外G1での対決も)東京のG1で顔を合わせるのと同じぐらいのことになってる。そういう感慨はあるけどね。

 武豊 キズナはいい形でステップを踏めたし、これほどいいムードで本番を迎えるのは難しい。前哨戦は予想以上。勝って堂々と出られるからね。強敵? そりゃオルフェでしょ。(フォワ賞でステラウインドに騎乗して)あんなん見せられてねえ。「スゲー!」と思ったよ。

 池江 うちの最大のライバルは、オルフェーヴル自身。でも、フォワ賞では求めていた走りがようやくできた。最高の状態にもっていければ、結果はついてくる。

 見つめるのは互いの姿ではなく、世界の頂点だけだ。「俺の馬が強い」「いや、俺の馬の方が強いと思う」-。今年44歳。かつての競馬オタク少年2人が、ロンシャンのターフで思いをぶつけ合う。【取材・構成=太田尚樹、平本果那】

 [2013年10月1日8時24分 紙面から]

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