日刊スポーツのニュースサイト、ニッカンスポーツ・コムです。


  1. 競馬
  2. ニュース

競馬のRSS

子馬を救う「輸血用馬」を知ってますか?

スワロー君と村瀬氏
スワロー君と村瀬氏

<2014 GO!GO!SUMMER>

 ユニバーサルドナーをご存じですか? どんなサラブレッドにも自身の血液を提供できる「輸血用馬」。輸血を必要とする子馬の治療等に、この馬の血が役立っている。新米ユニバーサルドナーとして、北海道浦河町の日高育成牧場にやってきたハフリンガー種のスワロー君(牡4)を紹介します。

 「献身」の星の下に生まれてきた馬なのだろうか。栗毛の馬体に鮮やかな金色のたてがみ。でも、オルフェーヴルとは似ても似つかない、ちょっとポッチャリとした体つき。そんな風貌のスワロー君は、一風変わった目的で昨秋から日高育成牧場にやってきた。

 ユニバーサルドナー。自分の血液を安全に他馬に分け与えることができる「輸血用馬」として選ばれた1頭だ。サラブレッドではなく、ハフリンガーという気性がおとなしく、人なつっこい種。同牧場生産育成研究室主査の村瀬晴崇氏(34)は「大手や中規模の牧場で自前で繋養(けいよう)しているところもありますが、ここではユニバーサルドナーを持つのは初めて。もともとはアテ馬(繁殖シーズンに牝馬の発情を促し、確認する)が必要だったのですが、そのときに輸血もできる供血馬を入れようとなり、事前に血液検査をして、よりドナー適性の高い馬を購買しました」と経緯を語る。

 人間の輸血も不適切な血液型で行われると拒絶反応が起きるが、馬も同じ。だが、ユニバーサルドナーの血液は他の馬に投与した場合でも、赤血球を破壊させる副作用が出づらい。スワロー君の場合は、検査で24の抗体のうち、もっとも重要なAa、Qaの他、多くの抗体で陰性の結果が得られた。輸血は人間でイメージしがちな外科的な手術ではそれほど使われず「子馬の免疫低下(注1)や溶血性貧血(注2)の治療で使うことが多い」という。いずれも命にかかわる症例で、そういった時にユニバーサルドナーの血が生きることになる。

 「この春は周辺牧場の子馬の治療にスワロー君の血が使われました。子馬たちに何もないことが一番ですが、この馬の血で助けられる馬がいるなら役立てたいですね」。繁殖期のアテ馬の役目がない今は月に1度の採血がお仕事だ。それ以外は放牧地で1頭の自由時間を満喫している。自分の役割の大きさを知らない天使のような無邪気さで。決して血統表に載ることのないユニバーサルドナーの血。いつかは人知れずスワロー君の血に救われたことのあるG1馬が誕生するかもしれない。【取材・構成=高木一成】

 (注1)出生直後の子馬は自身で免疫(細菌やウイルスの感染から生体を防御する)を作れない。母馬の初乳を飲むことによって免疫移行が行われるが、何らかの理由で十分な量を摂取できなかったり、吸収が不十分だと免疫不全となり、感染症を発症しやすい。

 (注2)母馬が子馬の赤血球に対する抗体を保有している場合は、初乳を介して受け取った抗体が、子馬の赤血球を異物とみなしてしまう。その結果、赤血球が破壊され、新生子溶血性貧血(黄疸=おうだん)を発症することがある。発症率は0・5%以下。

 ◆ハフリンガー種 オーストリア及びドイツ・バイエルン地方が原産。ポニーに分類される。非常におとなしく、人なつっこいのが特徴。一般的に乗馬や馬車引きに利用される。ユニバーサルドナーとしての適性が高く、種の8割が該当するといわれている。サラブレッドより体高は低く、馬体は400~450キロぐらいが主。

  1. 「哲三塾」3連複で中山金杯3630円、サンライズS1万2690円的中
  2. 中山金杯調教採点 3位評価ラブリーがV!1位評価ロゴも2着

 [2014年8月12日8時34分 紙面から]




  • 有料競馬◆2月22日、1~3着馬のコンピ指数[22日16:54]



日刊スポーツ購読申し込み 日刊スポーツ映画大賞