東京オリンピック(五輪)世代のU-24日本代表のサガン鳥栖FW林大地(23)が、3位と好調をキープするチームを最前線でけん引している。

今季は11試合に出場し4ゴール。相手DFライン上で細かな動きだしを繰り返し、オフサイドにかかった回数は今季のJ1で最多の12回。オフサイドは相手の間接FKに切り替わる反則だが、その多さは相手守備ラインの背後を狙い続けている証しでもある。

前節18日には2位名古屋の連続試合無失点記録をストップするゴールを決めた。前半6分、FW酒井の左からのクロスに勢いよく飛び込み、ヘッドで仕留めた。鉄壁の守備を誇る相手に対して「数少ない隙を常に狙っていた」と言う。

クロスが入る直前、林はオフサイドポジションにいた。だが、その時点ではボールに関与しなかった。左サイドを抜け出した酒井によってDFラインが下がり、プレーが可能になった段階で一気にスピードを上げた。相手DFとの駆け引きのうまさが光ったゴールでもあった。

後半21分にはDFエドゥアルドのロングボールから相手守備ラインの裏に走りだした。ここでは名古屋DF陣が手を挙げてオフサイドの反則をアピール。攻守は切り替わったが、パスの出し手との呼吸が合えば、一気に決定機につながりそうなシーンだった。

DAZNでこの上位対決の解説を務めていたのが元日本代表FWの佐藤寿人さんだった。オフサイドの網を巧みにかいくぐってJ1歴代2位の161ゴールを記録したJリーグのレジェンドは「狙いは悪くないですね。ストライカーらしい動き。動きだし、紙一重でしたね」と、そのプレーを評価していた。

新人だった昨季もオフサイドとゴールは「紙一重」だった。チーム最多の9ゴールをマークしたが、オフサイドになった回数は日本選手最多の36回を数えた。リーグ全体でも得点王に輝いたFWオルンガ(柏)の36回、FWレアンドロ・ペレイラ(広島)の22回に次いで3番目に多かった。

その多さは東京五輪代表入りを目指す林にとっては好調のバロメーターか。次戦は24日に敵地で東京と対戦。勢いに乗る新進気鋭FWの相手守備ラインの裏を突く動きに注目だ。

【石川秀和】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「データが語る」)

◆今季J1個人オフサイド数ランク

12回 林大地(鳥栖)4得点

8回 家長昭博(川崎F)6得点

6回 クリスティアーノ(柏)0得点

6回 パトリック(G大阪)0得点

6回 大久保嘉人(C大阪)5得点

6回 ジュニオール・サントス(広島)2得点

※第10節終了時