2020-2021シーズンも終わり、スペインのラ・リーガはアトレティコ・マドリードが7年ぶり11回目の優勝で幕を閉じました。最後まで優勝を争ったセビージャは優勝すると72年ぶりということで、最後までとても盛り上がった争いにはなりましたが、やはりスタジアムにファンがいないという現状はなんとも寂しいものでした。優勝を逃したレアル・マドリードは監督が変わり、そしてバルセロナも新ストライカーの補強に動くなど、来シーズンの覇権奪回に向けて動き始めている移籍市場には更に注目が集まります。


そんな中、現地の報道によると、欧州サッカー連盟(UEFA)のアレクサンデル・チェフェリン会長が2019-20年に219万ユーロの報酬を受け取っていたと報道がありました。日本円にすると1ユーロ=130円の計算で2億9000万円弱という額になり、これだけでもとんでもない報酬なわけですが、さらにこの金額は前シーズンから45万ユーロ(同レートで6000万円弱)の増額となっており、コロナ禍ということもあり、大きな波紋を呼んでいるようです。


レアル・マドリードのフロレンティーノ・ペレス会長は、スーパーリーグのプロジェクトを発表した会見で、「NBAのスーパースターであるレブロン・ジェームズがいくらぐらいの報酬を手にしているのかは全員が知っていることである。なぜならば、それは公開されているからだ」と発言したとありました。さらに、「しかしながら、私はUEFAの会長がどのぐらい稼いでいるのかはわかりません」と付け足しました。つまり、チェフェリン会長の報酬は基本的に公表されているものではなく、あくまでも情報のリークによるものであったということです。


さらなる現地の報道によると、その後発表されたUEFAの貸借対照表を分析してみると、会長が2019-20年にボーナスなしで総額219万ユーロを受け取ったことが判明しましたとあり、このリークされた情報が正当化された形になりました。そしてこの公表された貸借対照表から、会長が前シーズンの報酬から約45万ユーロの増額報酬を受け取ったとありましたが、コロナ禍において昇給したのは会長だけではなかったようです。UEFA事務局長のセオドア・セオドリディスはパンデミックを理由に一般社員に対してのボーナス支給を取りやめたにも関わらず、彼本人への支払いは前シーズンに比べ16万4000ユーロ増加して123万ユーロ(1億5990万円)になったことがリークされました。全世界的なパンデミックということもあり、副会長は給与の20%である1万2500ユーロ(約160万円強)の削減に合意し、さらに全UEFAの役員給与報酬は8000ユーロ(約100万円)削減に合意したとあったにもかかわらずです。


こういった情報リークがスーパーリーグ構想の実現化にたいして拍車をかけたことに間違いありません。俯瞰(ふかん)的な視点から事象を見てみると、大部分のファンや関係者が口をそろえて訴えた「チームがお金の亡者になってしまった」という側面だけではないと感じます。改めてUEFAの体質、組織そのものを含めて見直す必要性がそこにはありそうです。問題解決とともに、一刻も早くパンデミックが治まり、あの熱狂が再びスタジアムに戻ってくることを願いたいです。【酒井浩之】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「フットボール金融論」)