<東アジア杯:日本1-1中国>◇最終戦◇9日◇中国・武漢

 今大会最下位に終わった日本だが、選手の質は1枚上なのは間違いない。ただ今後のW杯予選へ向けて、好プレーをしても結果を残せなかったという不安はつきまとう。リスクを冒してでも攻めるのか、あるいはリスク意識を前面に押し出すのか。この表裏一体ともいえるバランスを、ピッチで表現できていない。

 具体的に言うと、この日の後半は日本が風上に立ち、畳みかける好機があった。中国は攻撃の構築さえできず、体力も消耗しきっていた。だが日本は静観する場面が目立った。勝負をかける判断は、監督が下すのか、選手が下すのかはその状況による。この日はどちらにもスイッチを押せる人間がいなかった。非常に不満だ。

 ただ左サイドバックを任された米倉は、武藤のゴールをアシストするためにリスクを冒してでも前へと仕掛けた。もちろん槙野、武藤を含めた3人がパーフェクトなプレーをしたわけだが、代表デビュー戦とすれば合格点だろう。自信をつけたはずだし、今後はさらに期待してもいい。(日刊スポーツ評論家)