後半、来日初のゴールを決める神戸FWダビド・ビジャ(撮影・上田博志)
後半、来日初のゴールを決める神戸FWダビド・ビジャ(撮影・上田博志)

Jリーグ初得点を挙げたFWビジャを含めたヴィッセル神戸のチーム力を、元日本代表FWで神戸にも在籍した永島昭浩氏(54)が解説した。

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ビジャの特長は(1)1タッチで前を向いてのうまさ、速さ、決定力(2)相手守備と駆け引きして競り勝った上での決定力。この2つを挙げるが、この日のJリーグ初得点は、まさに(2)の要素を引き出した山口のミドルパスが抜群だった。

古橋からのバックパスをもらった山口は、その瞬間にビジャの位置取りを確認していた。前線のビジャの周囲に相手DFが2人。山口はちょうどそのエリアにミドルパスを蹴り込んだ。ビジャも自身の技術で抜け出そうと待っていた。まさにFWが欲しいと思っているタイミングでパスが届いたわけで、FWはそういう時こそ得点率が上がる。相手のミスが出たのはあくまでも結果論。ビジャを知り尽くすイニエスタではなく、日本人の山口がビジャの特長を引き出したことに価値がある。

もう1つ大きな収穫もあった。神戸は4-3-3に近いシステム。最終ラインからの攻撃の構築力が予想以上にあった。特にセンターバックで新加入のダンクレーは前半に縦パス1本でビジャへの好機を演出していたし、大崎はラインの押し上げ、コーチング、両足の技術力など非常に安定感があった。攻撃力はJリーグ屈指の神戸だけに、この最終ラインがうまくかみ合えば勝利の確率はグンと上がる。

相変わらずイニエスタはボールコントロールがうまいし、視野が広い。そこにビジャが加わり、ビジャを生かせる日本人が続けば末恐ろしいチームになる。(日刊スポーツ評論家)