日本が敵地で敗れ、窮地に追い込まれた。最終予選はこれで1勝2敗で勝ち点3のままとなり、3戦全勝の首位オーストラリアと2位サウジアラビアは、勝ち点9で完全に抜けだした状態だ。元日本代表FWで日刊スポーツ評論家の永島昭浩氏(57)は、完全アウェーとなった一戦で日本の準備不足を指摘した。

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まず感じたのはサウジアラビアの一貫した戦い方だった。敵陣では強いプレスをかけてボールを奪い、短い距離でゴールを狙う。それができなければ、自陣で守備ブロックを整えて失点しないことを優先させる。つまり、プランAとBを併用し、作戦を遂行できたからこそ決勝点が生まれ、勝利につながった。

一方の日本はどうか。ボールを保持してパスをつないで得点を狙う。それが王道のプランAだとすれば、そのAが機能しなかった場合、大迫にロングボールを当てて2次攻撃するのがBだったはずだ。だが、実際に実行したプランBは、大迫までボールが到達してもそれを拾う選手がいない。本来は浅野、南野が役目を担うはずだが、その位置取りができていなかった。

そもそも試合は相手があっての生き物だから、苦戦しながらプランBを実行していくうちに、日本のプランAが生き返っていくことも多々ある。突き詰めればAもBもダメなら、敵地で引き分けという最終手段のプランCになるが、Bの準備ができていなかった日本に、引き分けに持ち込める余裕はなかった。

これらの試合運びは戦術、戦略、技術という以前に、チーム全体の危機管理の有無という問題に行き着いてしまう。

選手とすればプランA~Cが準備できていてこそ、精神的に余裕が持てる。1勝1敗で迎えた日本にとって勝利が最優先されたのは分かるが、戦い方の引き出しの少なさ、準備不足が目につく試合になった。(日刊スポーツ評論家)

サウジアラビア対日本 前半、大迫(左)はゴール前の浮き球に飛び込むも相手GKオワイスに阻まれる(撮影 パオロ・ヌッチ)
サウジアラビア対日本 前半、大迫(左)はゴール前の浮き球に飛び込むも相手GKオワイスに阻まれる(撮影 パオロ・ヌッチ)