<W杯アジア最終予選:日本1-1イラク>◇B組◇13日◇イラン・PASスタジアム

 采配も何もあったものじゃない。選手の先発起用も交代も、けが人の対応に追われただけだ。今回のメンバー構成は、監督やスタッフのビジョンが間違っていたんじゃないかと思う。

 海外組はシーズンを終えて、いったんコンディションが落ちていることは予想できただろう。厳しい気候の中でやることも分かっていたはず。酒井宏は状態に違和感を抱えていたと聞くし、国内組も今野はベストじゃない。山口もけが気味だった。メンバー選びの段階で本当のコンディションを理解していたのか。結局、切り札の乾を使えずに、50%の久保が最後までピッチに残った。

 同点にされ、吉田が前に上がるなど必死さは伝わったが、遅かった。先制した後、引いてしまったのがいけなかったと、選手がコメントしていたが、監督はどう思っていたのか。前に出るように指示したのか、疑問が残る。

 8月のオーストラリア戦を迎える時も、海外組は新シーズンが始まったばかりで微妙な時期だ。まだ所属チームが決まっていない選手もいるかもしれない。また同じことが繰り返されないようにしてほしい。W杯出場の可能性は残っているが、簡単ではない。(日刊スポーツ評論家)