2-0から勝ちきる采配ではなかった。相手は高さを使いだしたのだから、槙野や植田で対応する手はあった。サイドを突かれて長友は息切れ、酒井宏は足がつっていた。酒井高と代えてもよかった。それが2-2にされてから、173センチの山口と速さのない本田とは…。ポーランド戦の最後に守り通したような明確なメッセージがない。

 選手も指示がないと、自分たちで打開できない。ブラジルは路地裏サッカーだが、日本はサッカー教室や学校で育つから、指示通りのプレーに慣れてしまう。自立心がない。16強といっても10人のコロンビアに勝っただけ。11人相手には1勝もできなかった。「強くなった」とは言えない。

 4年後へどうするべきか。誰が監督になるにせよ、選手同様に結果を出さなかったら、すぐに交代させること。日本は予算社会だから、これまで「4年契約ありき」というムードだった。それでは緊張感が足りない。まずは来年1月開幕のアジア杯が最初のハードルだ。

 金もうけのための親善試合はやめて、強化になる試合をしてほしい。弱い相手を日本に招待して、協会が潤っているだけでは、この4年間と変わらない。誰もが日本は強くなったと勘違いし、アジアで勝てても、世界では通用しない。

 8年後、12年後も見据えた年代別代表から一貫した育成も必要だ。五輪代表とA代表がまったく違うサッカーをやっていては、即戦力として昇格できる選手は限られる。トルシエ元監督が99年世界ユース、00年シドニー五輪で多くの選手を育て、02年W杯につなげた例もある。東京五輪世代には強い相手と強化試合を重ねることが急務だろう。海外出身選手の日本国籍取得を再考することも提言したい。(日刊スポーツ評論家)