「10人になったのによく頑張って引き分けた」という慰めは意味がない。10人になってしまったことは反省すべきこと。1-0から逃げ切れなかったこともだ。3試合ともPKを与えたことも、試合終盤で失点したことも、1点しか取れなかったこともだ。

一方で、10人になったから負けなかったとも考えられる。退場者が出たから引いて守り、2失点目を免れた。本来は10人で引き分けなら、11人のままだったら勝てたと思いたい。だが、過去2戦を踏まえると、前がかりになっていたらカウンターをくらい、逆転された可能性はある。

カタールは序盤からコンディションが良くないのは明らかだった。ここで差をつけられなかったのが響いた。日本は怖がる必要はないのに、ゆっくりしたペースでスキを突けなかった。結局、1勝もできずに終わったのが現実だ。ここまでに1勝でも挙げていたら、この引き分けに価値が生まれたのに…。今大会で褒められる点はない。

遅いけど、東京五輪に向けて一から出直し、これからチームを作り直すしかないだろう。3月の親善試合(南アフリカ戦、コートジボワール戦)ではオーバーエージも入れた「本番のチーム」の形をしっかり見せてほしい。国際Aマッチウイークで海外組も呼べる期間だから、ベストチームが組めるはずだ。

同時に五輪の1次リーグでアフリカ勢と同組になる確率が高い。そこで勝って自信をつけないと。選手には勝つ経験が必要だし、周囲には安心感を示してほしい。負けたら精神的にきついし、組織的にも揺らいでしまう。ある意味この3月の2試合は、同時期のW杯アジア2次予選より重要といえよう。(日刊スポーツ評論家)