J1横浜が11月28日、年内最後の全体練習を終えた。今季のリーグ戦は年間7位、天皇杯も4回戦で神戸に0-1で惜敗し、無冠となった。リーグ戦が終わり1週間、選手らは通常通り練習を行っている。練習拠点を置いている横浜市みなとみらい地区のマリノスタウンは年内での撤退が決定しており、練習後には学生の終業式のように大荷物を抱え、自らの私物を持ち帰っていた。ユースの頃からマリノスタウンに通っていたMF斎藤学(25)はロッカールームのイスにサインを残し、DF中沢佑二(37)は大好物のカレーを食堂で食べ、スタッフに感謝の意を伝えるなどそれぞれの形で同地に別れを告げた。

 今後は契約更改交渉が行われる。中沢は「クラブの移転に関することをしっかり話し合いたい」。年明けの1月11日以降には、日産フィールド小机など新横浜に拠点を移す。07年にグランドオープンしたマリノスタウンは天然芝2面、人工芝2面のグラウンドを備え、FCバルセロナのクラブハウスを参考にした設計で、国内最高クラスの環境だ。移転先の新横浜には、現在のクラブハウスの設備をどこまで移すことができるか。ポジティブに考えれば、日産スタジアムで練習を行うことも可能で、試合が行われるピッチで練習できることは有利に働くだろう。

 だが既に契約更改交渉を行った選手は、口々に練習環境について不安を募らせている。優勝するために選手にストレスのない環境を用意することがクラブ側の仕事。プロは1年目から結果が求められる世界であり、環境の変化を言い訳にはできない。斎藤も「移転後はスタッフにも負担がかかると思うが、その負担をなるべく減らして欲しい」と話している。

 移籍をする度に環境に順応するのは選手の仕事だが、J屈指の環境で練習ができたからこそ、ケガなくシーズンを過ごせた選手もいる。だからこそ選手が納得した上で、新天地での練習を迎えて欲しい。【青木沙耶香】

 ◆青木沙耶香(あおき・さやか)1992年(平4)8月29日、東京都生まれ。上智大を経て15年東京本社に入社。今年5月からスポーツ部サッカー担当に配属。