4月14日、熊本地震発生から1年を迎える。スポーツのジャンルは違うが4月2日、復興支援をテーマに行われたゴルフのプロアマ大会、北九州オープンを取材し、スポーツの持つ勇気や元気を与える力をあらためて痛感させられた。

 ベストアマに輝いた熊本・秀岳館高3年の芹沢慈眼(じげん、17)を取材する機会があった。昨年4月16日未明の地震では、寮で壊れたかと感じる激震に襲われた。翌日からの休校を受け実家がある大分市に一時避難。だが自ら近所のコンビニで募金を寄付するなど被災地を気にかけ続けた。今大会も復興への思いでがむしゃらだった。ツアーシード選手、重永亜斗夢(あとむ、28)も熊本の復興支援のため、優勝を目指す必死のプレーで2位タイになった。彼らの奮闘は、大会関係者やギャラリーの心を打った。

 そんな中、思い出したのが被災の困難を乗り越えて復活を遂げたサッカーのJ2ロアッソ熊本の歩みだ。地震の影響で一時活動を休止。Jリーグ戦復帰後も練習不足のブランクなどで万全だったわけではない。それでも熊本のため懸命に走り続けた。しかし16位。今季へ期すものがあったはずだ。ただ当時を知るFW清武功暉(27)ら主力が移籍した今季。新チームは第6節消化時点で3連敗を喫すなど20位と低迷している。

 熊本市などでは、いまだ屋根にブルーシートをかけた家や倒壊したままの家屋も目立つ。仮設住宅への避難者も多い。震災から1年の4月16日には、本拠地のえがおSに松本山雅FCを迎えるだけに、笑顔を届けるためにも意地を見せなければいけない。昨年地震後に行われた熊本の選手によるサッカー教室で目を輝かせた子どもらのスーパーヒーローなのだから-。

 ◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部で主にJリーグなど一般スポーツを担当、プロ野球等のカメラマンも兼務する。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。