50歳のJ2横浜FC・FWカズ(三浦知良)が、15歳でU-20(20歳以下)W杯韓国大会(20日開幕)の日本代表に選出されたFW久保建英(たけふさ=東京ユース)に、自身のブログで「やんちゃであれ」と提言した。

 35歳離れた選手同士。久保の高校1年生とは思えない、落ち着いた言動の数々。カズは「大人に混じって戦う久保選手は、発言も大人びている。ただ、大人び過ぎなくても構わないと思う。15歳らしさ、伸びやかさ、やんちゃさが面白みにもなるだろうから」と助言をつづった。

 以前、カズに話を聞いた際に「本田選手? W杯優勝が目標でしょ。僕がW杯に出たいって言った時に、いろいろな人から『こいつは何を夢みたいなことを言っているんだ』って笑われたことを思い出したよ」と、ビッグマウスで誇示した日本代表FW本田圭佑を支持していたことを思い出した。その時「ピッチの中で、みんなと同じことを考えていてはダメだからね」と続けた。ピッチ上のアイデアにも通じるのだろうと感じたことを、覚えている。

 幼少期からスペイン・バルセロナ入団を目標に掲げ、下部組織でプレーして夢の1歩を切り開いた久保。カズにとっては“大人の事情”などで、こぢんまりとまとまってしまうことは、残念なことと位置づけたのだろう。Jリーグの1年目研修では、社会人としての姿勢だけでなく、報道陣への応対まで細かく指導され、個性がなくなる寂しさも感じているようだ。

 4月15日、FC東京U-23の一員として臨んだJ3セレッソ大阪U-23戦で史上最年少ゴールを決めた久保。同日のJ2町田戦後、左膝を負傷し、途中交代したにもかかわらず、チームバスに乗る前に、私のパソコンで久保のゴールを確認してくれたカズ。「思い切りの良い、良いゴールだね」と物おじしない、判断力から生まれたゴールに賛辞を送った。

 5月3日のルヴァン杯北海道コンサドーレ札幌戦で久保がトップチームでデビューした日にも、自身はケガで欠場したにもかかわらず、同日の愛媛戦後に久保について言及。「50歳でも15歳でも、サッカーに年齢は関係ないよね。久保くんがチームに認められているからこそ、試合に使われる」と実力を認めていた。

 カズが久保に期待を寄せていることは間違いない。ブログの最後には「何より、彼はサッカーでは誰にも負けないという意思が顔にありありと出るのが魅力的ですね」。高校1年生でブラジルに渡った自身と重なり合わせているようだ。先日、横浜FCの練習取材後、カズから「僕はご意見番じゃないよ」と笑顔でくぎを刺された。その時は、すぐに言葉に出来なかったが、この場を借りて言いたい。

 「カズさんはスポーツに限らず、世界情勢のご意見番ですよ」。

 J最年長記録を塗り替えるカズと、J最年少記録を更新する久保。これからもカズには“ご意見”を求め続けるし、天皇杯で「カズVS久保」の対戦が実現してほしい。U-20W杯韓国大会に出発した久保は「やるからには世界一」と堂々と発言した。カズが求める“やんちゃ”さが、早くも伝わりつつあるのかもしれない。【鎌田直秀】

 ◆鎌田直秀(かまだ・なおひで)1975年(昭50)7月8日、水戸市出身。現在は久保建英の出身地、川崎市麻生区の隣町に在住。土浦日大-日大時代には軟式野球部所属。98年入社。販売局、編集局整理部を経て、サッカー担当に。相撲担当や、五輪競技担当も経験し、16年11月にサッカー担当復帰。現在はJ1鹿島、J2横浜FCなどを担当。