強豪が不調に陥っている。

 昨季に歴代最多タイの勝ち点74を積み上げた浦和レッズが25日のアウェーのサガン鳥栖戦に1-2で敗れ、リーグ3連敗を喫した。4月30日の大宮アルディージャとのさいたまダービーまでは8戦で6勝1敗1分けの24得点と強烈なスタートダッシュを切っていたが、ダービーでの敗戦で連勝が4で止まってからこれで7戦1勝5敗1分け。ACLではベスト8に駒を進めている一方、浮上のきっかけをつかめずにいる。

 鳥栖戦後、GK西川周作はトレードマークの笑顔を消して「ふんばりどころです」と話した。「ここ数年ずっと上位で戦えていて、『勝てる』という気持ちがあったと思う。もう1度しっかり向き合う時間」。16節を終えて9位。勝利を宿命とするビッグクラブのプレッシャーの中で、足元を見つめ直す必要性を口にした。

 西川自身、ずっと長い不調のトンネルを抜けてきた。大分トリニータでプレーしていた09年、90分試合ではJ1ワースト記録となる14連敗を喫した。守護神は「今はそれが財産になっている」と話す。味方同士の衝突、監督交代。チーム内での揺らぎを経験した。「人のせいにしだすのが一番よくない。レッズの良さはお互い正面から言いあえることと、経験があること」。大分での復調のきっかけは浦和を破って連敗を止めた1つの勝利だったというが、常勝と言えるほどの勝利を経験した浦和の場合は違うところにカギがあると見る。「1度深呼吸をして、ぶれずにやること」。

 昨季も6月にリーグ戦で3連敗を喫したが、その後の5連勝でふたたび波に乗った。6季目の指揮をとるペトロビッチ監督は不調にも「そういう時期があるのもサッカー」と前を向く。こう続けた。「大きく変えて解決するものではない。自分たちがやるべきことをまっとうして戦うだけ。必ず乗り越える」。指揮官と選手の意思はまとまっている。連敗という悩ましい記録が目につくが、練習場の雰囲気が曇ることはない。きっかけ一つで状況がガラリと変わる雰囲気もまた、大いに感じとれる。【岡崎悠利】

 ◆岡崎悠利(おかざき・ゆうり) 1991年(平3)4月30日、茨城県つくば市生まれ。青学大から14年に入社。16年秋までラグビーとバレーボールを取材し、現在はサッカーでおもに浦和レッズ、柏レイソル、東京ヴェルディ、アンダー世代を担当。