29日に全国高校総体サッカーが開幕します。今年は宮城県内で開催。全国の県大会を勝ち抜いた56校が一発勝負のトーナメントで頂点を争います。昨年は千葉の市船橋が優勝。今年はどの高校が優勝するのか-。私は静岡県代表の静岡学園に注目しています。

 今回で出場は6度目。11年には準優勝し、昨年はベスト8進出を果たしました。シードとして臨む今年は2回戦から登場し、星稜(石川)と香川西(香川)の勝者と対します。同校はドリブルとショートパスを駆使した「個人技スタイル」が最大の武器。破壊力抜群の攻撃力で激戦の静岡を制しました。その中心選手となったのがFW伊藤稜馬(3年)です。

 全国的にはまだ無名ですが、将来の活躍が期待できる選手の1人です。プレースタイルはがむしゃらにゴールを狙い続ける「頑張り屋」。テクニック集団の中では異彩を放つ存在です。伊藤は「チームで一番下手だと思っています。ただ、走ることとシュートを確実に決めることについては誰にも負けない自信があります」。

 日本代表FW岡崎慎司(31=レスター)をほうふつとさせる前線からの積極的な守備が伊藤の持ち味で、本人は「僕は走ってなんぼ。とにかく頑張って走れば、いつかチャンスは巡ってくると信じています」。言葉通り、今年は勝負どころで結果を残してきました。

 2月の新人戦と6月の県総体では決勝戦で決勝ゴールをマーク。自らの得点でチームを2大会連続優勝に導きました。伊藤自身は「持っていますね」と話していましたが、強い信念を持って頑張り続ける選手は必ず報われるのだと感じた瞬間です。伊藤は昨年の全国総体でも主力として出場。3試合で先発しながらも無得点に終わっただけに「今年は毎試合得点で得点王を目指します」と力強く話していました。

 杜(もり)の都・仙台を中心に繰り広げられる真夏の熱い戦いが、まもなく始まります。静岡学園は静岡県勢としては96年の清水商(現清水桜が丘)以来19年ぶりの全国制覇を目指します。「サッカー王国」復活も懸けて全国舞台に挑む、名門「SHIZUGAKU」のエース伊藤。将来プロ入りを目指す点取り屋の活躍を期待し、現地で追っていきます。


 ◆神谷亮磨(かみや・りょうま)1985年(昭60)8月28日、静岡市清水区生まれ。幼稚園からサッカーを始め、高校は東海大静岡翔洋(旧東海大一)でプレー。08年入社。担当は11、12年にJ2磐田、13、14年にアマチュアサッカー、15年から清水。現在はJ3沼津などを担当。