サッカー・カンボジア代表の実質的な監督で、選手としてオーストラリアの強豪メルボルン・ビクトリーに所属する本田圭佑(32)が18日、ツイッターで問題提起した。

「今のコーチングライセンス制度は廃止して新しいルールを作るべき。プロを経験した選手は筆記テストだけで取得できるのが理想。

母数を増やして競争させる。クラブ側も目利きが今まで以上に求められる。ただ選択肢は増える。

日本のサッカーはそういうことを議論するフェーズにきてる」

こう持論を述べた。

サッカーの指導者は免許制で、日本サッカー協会は特にしっかりしたライセンス制度のもと、指導者を育成している。

プロ野球のように、指導者経験なしで現役引退とともに所属チームの監督に就任するようなことは、現実的には不可能だ。

現役で、既存の仕組みに縛られない自由な本田は、指導者ライセンスを持っていないが、一国の代表チームを指揮している。ただ、ルールはルール。カンボジアの監督には就けず、GMとなることで実質的な監督として活動している。

カンボジア代表では、本田の個人アシスタントで母国アルゼンチンの最上位の指導者ライセンスを持つフェリックス氏を監督に据えた。これで“ライセンス問題”をクリアしている。

本田の主張が通れば、W杯や海外リーグを経験した元日本代表が、もっと簡単に指導者に転身できるようになる。

取得が難しい日本の最上位、S級コーチ資格は、本場欧州の最上位ライセンスとの互換性がなく、海外ではアジアをのぞき、ほぼ意味をなさないなど、確かに問題点はある。

選手がこれだけ海外に出て勝負している時代。指導者もチャレンジできるよう、日本が世界に誇る厳しいライセンスの価値を欧州に認めてもらい、互換性を持たせることが、現実的な改善プランではないだろうか。

本田は、その後のツイッター上でのやりとりで「誰でもが最低限の筆記テストのみで取得できるに変更しましょう」と補足した。

日本だけでなく、世界中の監督ライセンスの取得ハードルを一気に下げようと主張している。

強引だが、実に本田らしい考えだ。そんなことできるはずがないと笑い飛ばす前に、指導者ライセンスについてしっかり考えてみたい。


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(その後、本田はYahoo!ニュース上のこの記事を引用し、次のようにツイート。考えをさらに補足した)


「そんな難しいことは言ってない。良いルールは守り、悪いルールは変えればいいだけ。

そして自分の為に言ってるんじゃない。僕は既に実質監督やってるしね。

先ずは将来的に監督になりたい影響力のある選手達が行動しなきゃいけない」

本田が指導者ライセンスについて声を上げたのは、今回が初めてではない。昨年7月24日にもツイッターでつぶやいている。

「サッカーの指導ライセンスについて。

指導テストなど別に必要ない。

必要最低限のルールテストで合格すればS級を渡すべきで、その方が絶対にサッカー界にとって有益なんです。

そもそも指導法に正解なんてないんですから。

1人では何も変えられないので皆でルールを変えましょうよ」

その主張は一貫している。【八反誠】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)


◆八反誠(はったん・まこと)1975年(昭50)生まれ。98年入社。06年からサッカー担当に。