J1大分トリニータひと筋8年目のFW伊佐耕平(29)が、伝統の背番号「13」を引き継ぎ、4クラブが降格する今季の過酷な戦いに挑む。

今年を勝負の年と位置づけ、背番号を「18」→「13」に変更した。「昨季から長くやってきた選手が多くいなくなり、自分がいろんな人の思いを背負ってやりたいと思った。13番を背負うことで、意気込みや気持ちが周りに伝わると思った」。昨季限りで大分生え抜きのDF鈴木義宜(28)やDF岩田智輝(23)ら多くの主力が退団。危機感もあり、責任感が増した証しでもある。より、得意とするポストプレーなどで貢献する覚悟でいる。「今季目標の1桁順位を達成するため、個人的には2桁取れればうれしい」とし、昨季リーグ戦3得点超えでの献身を目指す。

「13」は大分のレジェンド的存在の元日本代表FW高松大樹(39)が背負い、16年限りで現役を引退してから空き番号だった伝統の数字だ。

高松は、伊佐にとって「大分に入った時からチームの中心で象徴的な選手でした。大樹さんをすごい選手として見ていました」と言い、背中を追い続けた存在だ。新背番号を決める前、高松に連絡したところ「13番は俺と一緒に戦って来た仲間だから。つけてくれてありがとう」とエールを送られた。伊佐自身も「すごく重要な番号。軽い気持ちでつけていない。ありがたいことに期待されているので、期待に応えたい」と燃えている。

さらに、FW陣に関して言えば知念慶(25)、渡大生(27)、三平和司(32)が昨季限りで退団。ベガルタ仙台から長沢駿(32)らの新加入があったとはいえ、課題の決定力不足解消へ重責が増すのは間違いない。それでも「チームは大きく変わりましたが、しっかり開幕へ向けて合わせ、去年よりいいチームをつくりたい」と伊佐。J3時代の苦難も知る苦労人が、2月27日、徳島ヴォルティスとの開幕戦(昭和電ド)からチームに闘魂を注入する。【菊川光一】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「サッカー現場発」)

◆菊川光一(きくかわ・こういち)1968年(昭43)4月14日、福岡市博多区生まれ。福岡大大濠高-西南大卒。93年入社。写真部などを経て現在報道部で主にJリーグや高校野球などを担当、プロ野球などのカメラマンも兼務する「二刀流記者」。スポーツ歴は野球、陸上・中長距離。