サッカー男子で森保一監督(49)率いるU-21日本代表が、U-23パキスタン代表に4-0で大勝し、2連勝で16強による決勝トーナメント進出を決めた。初戦から先発を8人入れ替え、今大会初先発のMF岩崎悠人(20=京都サンガFC)が開始早々の先制弾を含む2得点の活躍を見せた。代表の公式戦での得点は16年10月のU-19アジア選手権以来。京都橘高時代から将来を有望視される快速ストライカーが、久々のゴールで存在感を示した。

 初戦で1点にとどまった攻撃陣の着火役は岩崎だった。スピードを生かして鋭角に裏へ抜けだし、ロングパスを受けて右足でやわらかくゴール左へ。開始から3分で得点を奪った。その後わずか7分でFW旗手、MF前田が追加点。ゴールラッシュを先導し「複数得点で勝てたことはとてもうれしい」と笑顔を見せた。

 京都で元日本代表FW大黒から授かった“斜め走り”が生きた。京都橘高時代は直線に走るだけでDFをぶち抜いていたが、代表経験のある大黒から「弧を描いたり、斜めに走らないとこれからの相手は抜けないぞ」とアドバイスされた。入団後の1年間、練習時から繰り返した動きは体に染みついた。持ち味である裏への抜け出しをさらに追求した、プロでの成長を示すプレー。前日ミーティングで森保監督から出た「もっと裏を狙おう」との指示を遂行するには適役だった。

 同高1年時から代表に呼ばれ続ける逸材だが、代表では長くゴールから遠ざかっていた。昨年5月のU-20W杯韓国大会、今年1月のU-23アジア選手権(中国)と無得点。2列目でのプレー時間が増える中で、自らゴールを奪う強引さとチームプレーとの間で思い悩んだ時期もあった。今大会のテーマは「自分からゴールに向かう姿勢を少しでも出すこと」。迷わず走り込んで決めたゴール。温厚な岩崎が一皮むけた。

 次戦の相手は日本がベスト8で敗退したU-23アジア選手権で準優勝したベトナム。チームの成長を見せるには絶好の相手だ。1次リーグ首位通過へヤマ場になるが、一気呵成(かせい)の4発で得た勢いをそのままに突き進む。【岡崎悠利】