東京オリンピック(五輪)世代のU-21(21歳以下)日本代表が決勝トーナメント1回戦でU-23マレーシア代表に1-0で競り勝った。苦戦を強いられたが、後半45分に途中出場のFW上田綺世(あやせ、19=法大)が自ら得たPKを決めた。27日の準々決勝でサウジアラビアと対戦する。

森保監督は試合後、ピッチで笑顔なく腕を組んだまま、ロッカールームへ引き揚げる選手たちを見つめていた。「前後半とも、10分すぎにカウンターを許した。攻撃と守備のどちらが緩んだかも含め、よりよくなるよう選手に求めたい」。上田が後半終了間際にPKを決めてゴールをこじ開けたが、勝利はノルマ。複数回あったあわや失点の場面が頭に残った。

マレーシアは1次リーグでオーバーエージ枠でW杯ロシア大会に出場したエースFW孫興民(トットナム)のいる韓国を撃破。森保監督は「かなり強い」とカウンターを警戒していたが、やはり苦しんだ。日本の3バックのサイドを狙うFWアブドルラシド、MFラシドらのスピードの対応にてこずった。後半30分すぎには自陣での連係ミスからボールを奪われ、打たれたミドルシュートがポストを直撃。ひやりとさせられた。

東京五輪世代は昨年のU-20W杯、今年1月のU-23アジア選手権と決勝トーナメントは初戦敗退。ようやく“鬼門”を突破した。DFラインの背後を狙い、空いたスペースに次には縦パスを送る。工夫して攻撃の種類が増えた一方、「決定力不足。チャンスをもっと作らないと。そこは選手に要求したい」。この勝利で満足は口にはしなかった。

短い活動期間の中、負ければ終わりの緊張感をまず1つ乗り越え、殊勲の上田は「日本を背負う立場として、絶対なにか残してやろうと思って臨んでいた」と自身の大会初ゴールを前向きにとらえた。ただ、準々決勝は中2日とすぐにやってくる。指揮官は「優勝するためにという部分では、選手たちが全てのクオリティーと判断力を上げないといけない」と話した。1つ1つ課題を克服しながら、アジア王者への挑戦を続ける。【岡崎悠利】