サッカー日本代表の後任監督候補として、前アルジェリア代表監督のバヒド・ハリルホジッチ氏(62=ボスニア・ヘルツェゴビナ)が最有力候補となったことが23日、分かった。22日に行われた技術委員会で、現在どこにも所属していないフリーの監督を中心に人選を進めることを確認した。21日に欧州から帰国した霜田正浩強化担当技術委員長(48)は、すでにハリルホジッチ氏側と接触し、条件面などを大筋で確認している。今後はハリルホジッチ氏との交渉を軸に、アギーレ前監督の後任代表監督人事は進んでいく。

 急展開した次期日本代表監督候補の選考作業は、ハリルホジッチ氏が最有力となった。先週末に帰国した霜田委員長は、8日から滞在していた欧州でハリルホジッチ氏サイドと接触し、条件面などの大枠を伝えた上で、好感触を得ている。

 22日夜に行われた技術委員会では、監督候補者の条件として、現在フリーであること、代表監督を率いての実績などを再度確認。その上で霜田氏が収集した過去の経歴などの情報を精査した。実績面なども協会の思い描く後任候補者像と合致しており、年俸も協会の予算で届く範囲も好材料になった。ハリルホジッチ氏1人についての議論に多くの時間が割かれ、候補者リストの最上位となった。

 ハリルホジッチ氏は6日の第1回の技術委員会では、リストアップされたが、その中では下位に位置していた。それが、現地で霜田氏が同氏サイドと直接交渉したことが大きなポイントになった。同時に、これまでリスト上位とみられた候補者が、6月まで所属クラブ、もしくは前所属クラブの影響下にあることで停滞ムードが高まった。こうした背景を基に、フリーな立場の同氏の評価が、相対的にリストの中で急上昇した。

 大仁会長は3月中の来日を目指している。そのためには、6月まで他クラブの拘束力に縛られるビエルサ、スパレッティ、ラウドルップの各氏は厳しい。フリーのハリルホジッチ氏が3月下旬の親善試合を視察できるのは、非常に大きな意味合いを持つ。同氏には他クラブからもオファーが届いており、交渉にはいくつかの越えるべきハードルはあるが、現実的には早期に代表チームを任せられる人材といえる。

 大仁会長の最終判断を待ち、霜田氏が再渡欧すれば、最有力の同氏との交渉が一気に進む可能性は高い。

 ◆バヒド・ハリルホジッチ 1952年10月15日、旧ユーゴスラビア(現ボスニア・ヘルツェゴビナ)のヤブラニカに生まれる。ユーゴスラビア代表では15試合で8点。地元のベレジュで指導者になり、パリサンジェルマンではフランス杯を制覇。リールでは仏年間最優秀監督。08年にコートジボワール代表監督。10年W杯南アフリカ大会では、ブラジル、ポルトガル、北朝鮮と同じ「死の組」で1勝1分け1敗の3位。14年W杯ブラジル大会ではアルジェリア代表を16強に導いた。家族は夫人と子ども2人。182センチ。