バヒド・ハリルホジッチ監督(62)の日本代表(FIFAランク53位)初采配となる国際親善試合チュニジア(同25位)戦が今日27日、大分銀行ドームで行われる。非公開練習や入念なミーティングで、チームの士気向上と規律をもたらしてきた指揮官は、練習後の取材対応も各選手3分に区切り、プレーに集中させる方針をとった。試合前の会見では、新戦力を起用することも示唆。全員横一線のサバイバルを課し、チーム力の底上げを図る。

 公式練習後のミックスゾーン。続々と取材対応に現れた代表選手たちにスタッフが「マンマーク」の形で付き添った。時計を確認し、取材が長引く前に打ち切って、帰りのバスに向かうことを促す。慣れないやり方に、報道陣はもちろん選手も戸惑った様子。ひと言ふた言で、自ら対応を打ち切る選手もいた。

 ザッケローニ監督もアギーレ監督も、選手の取材対応に制限は設けなかった。中には10分前後も話す選手すらいた。この変化について、広報担当は「話す内容の問題ではなく、プレーに集中させたいという監督の意向」と説明。各自の取材対応を3分間に限定するチーム方針を明かした。

 ハリルホジッチ監督はプレー面でも、ロープを使ってセンチ単位で守備時の選手間の距離を保たせたり、細部にわたり妥協を許さぬ指導を行ってきた。細かいこだわりは、ピッチ外でも変わりなかった。

 初陣のピッチ内でも、ハリル流は明確に打ち出される。指揮官は「明日は新しい選手をプレーさせる。2試合で多くの選手をプレーさせたい」と明言。29選手を余さずテストするため、チュニジア戦とウズベキスタン戦で、ガラッとメンバーを代える考え。既に選手には、どちらの試合に出場するかを伝えてある。

 特に所信表明の意味を持つ初戦チュニジア戦は、“ハリル・チルドレン”として期待される新戦力を中心に、先発を組むことも予想される。前日練習のミニゲームも、本田、香川ら今までの主力と、宇佐美、川又といった新戦力が交ぜられた布陣で行われた。

 過去の実績、ネームバリューにはこだわらない。「選手にスターはいらない。チームがスターであるべきだ」と常々公言する通り、全選手横一線から、全く白紙状態の先発布陣を争わせるつもりだ。

 わずか26分間の初練習では、選手たちのランニングを先頭で引っ張り、見る者を驚かせた。個人、グループ、チームで重ねられるミーティング。ポゼッションサッカーから、高速カウンター攻撃への転換。まだ4日間のハリル体制だが、日本代表には数々の「革命」が起こった。魔術師は「いろいろな変化を起こしてきたので、いい試合にしたい。どうなるのか楽しみにしています」と話した。【塩畑大輔】