歯に衣(きぬ)着せぬハリル節がよみがえった。27日の日本代表発表会見で、バヒド・ハリルホジッチ監督(63)は選手選考の内幕から、移籍がうわさされる代表選手の去就情報まで、包み隠さず語った。4戦未勝利と結果が出ず、就任当初に注目された「言葉の力」が影をひそめていたが、大事なW杯予選を前に再び言葉に勢いが戻った。

 会見冒頭。壇上のハリルホジッチ監督は、丁寧に「おじぎ」をしてから着席した。日本流の礼儀で示す、日本への最大級の敬意。しかしそれは、オブラートなしに思いのたけや事実を語る“ハリル節”への導入だった。最初に話題になったのは選外のGK川島。

 ハリルホジッチ監督 今回初めて、川島が入っていない。残念ながら、所属クラブがない。もう少しで、あるクラブに決まると思うのですが…。

 無所属の川島の動向は、多くのメディアが注目するところ。それだけに「所属がもうすぐ決まる」という情報が意外な形で明かされ、報道陣はざわついた。さらにDF長友についても「インテルで出場機会が少ないが、クラブを変えると言っている」と明かした。

 DF酒井宏、酒井高を紹介する際には「所属クラブで難しい状況だが、彼ら以上のサイドDFが国内にいない」とバッサリ。さらに、本職が右サイドDFの米倉を左で起用すると明言し「今は藤春よりいい」と同じG大阪のレギュラー左DFを引き合いにも出した。

 ハリルホジッチ監督は「いいプレーをしていれば、今回の米倉のようなことが起きる。この選考は国内の選手へのメッセージ」と強調した。FW興梠については「大迫と比較していたが、彼がケガをしたので」。さらに川崎FのFW大久保らの名前も挙げて「興梠らよりも点を取っているが、私は将来を考えている。より若い選手を起用したい」とし、同じ川崎FのFW杉本への期待を口にした。

 普通は伏せられる選考の内幕をあえて明かし、どうすれば代表に選ばれるかを示すことで、未招集の選手たちにも奮起を求める。歯に衣(きぬ)着せぬ物言いは、時に批判も受けるが、そんなことに構いはしない。

 最後には「事故については質問はいいんですか?」と24日に都内で運転中にタクシーと接触事故を起こした件にも言及。「健康に気遣っていただき、ありがとうございます。何も問題ありませんでした」と笑って締めくくった。【塩畑大輔】