18年W杯ロシア大会を目指す日本代表に“新戦力”が加わった。28日、東京近郊でのキリン杯に向けた事前合宿に土肥美智子医師(50)が加わった。国際サッカー連盟(FIFA)の医学委員で、過去にはなでしこジャパンが優勝した11年女子W杯ドイツ大会でドーピングと選手の健康管理を担うなど世界を知っている。その名医は、何と日本サッカー協会の田嶋幸三会長(58)夫人。ハリルジャパンの内科医として最終予選のアウェー戦にも同行し、チームを支える。

 選手からスタッフまで、男ばかりのハリルジャパンに紅一点、女性の“新戦力”が加入した。開始前の円陣に加わり、その後はピッチ脇から海外組中心の練習をじっと見守った。土肥氏は、過去に五輪で日本選手団を支えるなど経験豊富な日本有数のスポーツ医学者。実績、手腕は申し分ない。日本代表に女性医師が同行するのは異例だが、両者の縁は何より深い。何と田嶋会長夫人。日本協会の“ファーストレディー”が、ハリルジャパンを支えることになった。

 指揮官が最終予選に向け従来のチームドクター(整形外科医)に加え、内科医を帯同させることを希望し、白羽の矢が立った。霜田代表ダイレクターは「アウェーへの移動もあり(敵地では)食べ物も変わる。内科医としてサポートしていただきたいと、お願いすることになりました」と経緯を説明した。アウェー戦には専属の西シェフが同行し、和食中心のメニューを振る舞っているだけに食の不安はないが、ピッチ内外でけが以外の内科的な疾患に対する備えも必要になる。最高の援軍だ。

 土肥医師はフランス語が堪能だといい、この日の練習後もハリルホジッチ監督と樋渡通訳なしで話し合う場面もあった。64歳のハリルホジッチ監督自身にとっても頼りになる“かかりつけ医”。FW岡崎も「心強い」と信頼を寄せた。なでしこもサポートしていた名医が、会長夫人であることは選手もみな知っている。ハリルジャパンの頼れる「なでしこ」が、チームをW杯までサポートする。【八反誠】