FW本田圭佑(30=ACミラン)が、急造1トップで先制弾をアシストした。前半5分。長谷部からのパスをDFと駆け引きしながらタメを作り、FW原口へ。絶妙のラストパスから先制点が生まれた。

 「前々日の練習で元気(原口)に、俺が持ったら少し(動きだしを)遅れろと伝えた。それがあったからオフサイドにならずに済んだ。あんなにすぐに結果に表れるのは珍しいね」

 ザッケローニ体制だった12年10月16日ポーランド戦以来4年ぶりの1トップ。10年W杯南アフリカ大会でも、直前合宿から最前線を任されて世界16強入りに貢献している。それでも本田の自己採点は厳しかった。

 「いつ以来(の1トップ)か覚えていない。いつも、ぶっつけ本番が多いよね。スピードがなくても点を取れるのを証明したいが、悔しいけど50点くらいの採点しかならないですね」

 ACミランでも代表でも、ここ数年は右サイドでの起用がほとんど。かつては「俺にはトップ下のDNAが流れている」と中央でのプレーにこだわった。だからこそ厳しい自己採点の裏で、満足感も漂わせた。

 「サイドをやると自分が下手になる感覚がある。けれど、僕がFWをやることで周りが点を取れる」

 宿敵を相手に敵地で最低限のドロー。それを呼んだのは紛れもなく「FW本田」だった。【益子浩一】