日本代表のFW本田圭佑(30=ACミラン)が、バヒド・ハリルホジッチ監督(64)に反論した。親善試合オマーン戦から一夜明けた12日、茨城県内で調整後に埼玉へ移動。オマーン戦後に同監督から、W杯アジア最終予選サウジアラビア戦(15日、埼玉)での先発外しを示唆された本田は「説明義務がある」「先発で出る自負がある」など発言。代表監督とエースに火種が生まれる格好となった。

 目の色が明らかに変わった。W杯出場の行方を占う15日サウジアラビア戦。大切な一戦を前にハリルホジッチ監督から先発落ちを示唆された本田は、真っ向から反論した。

 本田 (先発から)外すという意味を、監督は説明する必要がある。納得できるなら受け入れる。ただ俺はこれまで代表で、自分の力で道を切り開いてきたと思っている。代表にふさわしいかどうかは、自分で判断できる。監督に(先発を)選ぶ権利はあるものの、俺は(先発にふさわしいか)自分で判断できる。

 歯に衣(きぬ)着せぬ発言が本田の特徴とはいえ、絶対的権力を持つ監督にかみついたことはない。それほどハリルホジッチ監督の求心力が薄れているという証しでもある。

 前日11日のオマーン戦後の会見で、指揮官は所属クラブで出場機会を失っている本田について指摘した。「試合のリズムが足りないと確認できた。ここまで存在感を出してきたが…。一番いいパフォーマンスの選手が誰か、把握しないといけない」。サウジ戦での先発外しとも受け取れる発言は、表面上は本田のコンディションを懸念したものと思われるが、実は2人の間には戦術面で相いれないものがあるようだ。

 本田 批判は耳に入ってくる。それを見返してやろうという気持ちがなければサッカーはやめるべき。サウジ戦は勝たないといけない。自分は先発で出るということを自負している。

 確かに本田の試合勘は失われている。同時に、これまで築き上げてきた土台を崩してまで、自らの主張を貫くハリルホジッチ監督と、選手の間に大きな断層があるのも事実だ。

 本田 俺が受けた教育はスパルタ。殴られる痛みは知っているつもり。傷つくことの経験はしてきた。

 B組首位サウジとの大一番を目前に控え監督とエースの間に生まれた火種。日本が進む道に暗雲が漂ってきた。【益子浩一】