W杯アジア最終予選タイ戦(埼玉)に臨む日本代表のFW久保裕也(23=ヘント)が、代表初ゴールから2戦連発を狙う。B組2位の日本は試合前日の27日、試合会場で公式練習を行った。敵地のUAE戦(23日)で代表初得点を挙げた久保は、タイ戦も先発が確実。最終予選で代表初得点から2試合連続ゴールを挙げたのは過去2人だけで、最下位相手のホーム戦でも新エースとして勝利に導く決意だ。

 力強いまなざしで、久保は集中力を高めた。練習前のランニングでは感触を確かめるかのように、芝を1歩1歩踏みしめた。3試合連続で右FWとして先発が確実。難敵UAEから先制となる初得点を奪い、連続ゴールの期待も高まる。

 「役割は変わらない。チャンスを作って点に絡みにいきたい。前回、右サイドで出て(得点し)やれるなという実感は湧いたし、もっとできると思う」

 W杯最終予選で初得点から2戦連発で決めたのは、97年の呂比須と12年の栗原だけ。だが、期待感と同時にのしかかる重圧を久保は感じさせない。「『(点を)続けていくことが大事』と長友さんにも言われた。自分でもそう思うし、まだ1試合しか結果を残していない」。本田を3試合連続で先発から押しのける実力を証明するためにも、ゴールは1つの目標だ。初めて先発した昨年11月のサウジアラビア戦前には、本田から直接助言された。定位置を奪った後輩に見せた懐の大きさに尊敬の念を抱いたからこそ、結果を出さなければならないと感じている。

 タイには思い入れもある。リオ五輪世代として始動した14年。手倉森ジャパンでのデビュー戦の相手だった。さらに、同五輪出場権がかかったアジア最終予選の1次リーグ第2戦の相手もタイ。2得点の活躍で勝利に導き、そのままアジアの頂点までチームを押し上げた。「(タイには)サイドが起点になるかなと思うし、いろんなイメージがあるけど、それを(プレーで)出しながらやれたら」と得点シーンの想像も膨らんでいる。

 今年1月に移籍したベルギーリーグのヘントでは、7戦5発の好成績を残してきた。それでも「チーム(ヘント)では右サイドをあんまりやれていない。代表で右サイドをやって自分の幅を広げていきたい」と貪欲だ。1試合の結果だけでは満足できない。今、日本で一番乗っている男が、新エースとしてW杯への道を切り開いていく。【小杉舞】