W杯6大会連続出場に何とか王手をかけた日本代表バヒド・ハリルホジッチ監督(65)が、17日(日本時間18日)開幕のコンフェデレーションズ杯(ロシア)で天敵を丸裸にする。W杯アジア最終予選B組の8月31日の次戦(埼玉)で対戦するオーストラリアとは、過去W杯の予選と本戦で通算0勝5分け3敗。西野朗技術委員長(62)との視察で徹底的にチェックし、1年後に開幕するW杯ロシア大会出場への道筋を描く。14日深夜、日本代表は13日のイラク戦の開催地テヘランからドバイ経由で帰国した。

 灼熱(しゃくねつ)のテヘランでイラクと引き分け「もちろんまったく満足していません」と落胆したハリルホジッチ監督が帰国した。足取りは最後まで重かった。テヘランからの経由地ドバイでは、疲れからか足元を少しふらつかせながら日本行きの航空機に搭乗した。ショックは大きい。

 ただ6大会連続のW杯、ロシアへと続く道の最後の直線で足元をふらつかせるわけにはいかない。指揮官は動く。13日のイラク戦の結果を受け、次戦8月31日を「本当に決勝戦となった」と位置付けた。その「決勝戦」の相手をロシアに行って丸裸にする。

 週明け20日以降にも日本をたち、大陸王者らが集うコンフェデレーションズ杯の視察に向かう。アジア王者オーストラリアの初戦は19日のドイツ戦(ソチ)、その後、22日にカメルーン戦(サンクトペテルブルク)、25日にはチリ戦(モスクワ)をこなす。当然、最優先でチェックしたい試合となる。

 指揮官は映像を含む、徹底した分析を好む。そのスタイルで昨年10月11日、敵地でのオーストラリア戦では、守備的戦術と終盤に長身のDF丸山を前線に投入する徹底ぶりで1-1で引き分けた。今回はW杯出場が決まる、勝ち点3のみを追い求める戦い。やるべきことははっきりしている。

 相手は天敵。過去W杯予選と本戦で通算0勝5分け3敗。06年W杯ドイツ大会1次リーグで1-3で逆転負けするなど、過去にケネディ(すでに現役引退)や健在なケーヒルといったFW陣に好き放題されてきた。対策は急務だ。

 “先乗り”の西野技術委員長は、すぐに日本をたち17日のロシア-ニュージーランドの開幕戦(サンクトペテルブルク)から視察する。この日帰国した羽田空港で「向こうで(監督と)合流してオーストラリアの試合を見る」と言った。指揮を執った96年アトランタ五輪でブラジルを破る「マイアミの奇跡」を成し遂げた勝負師の目も光る。“2トップ”で入念にダブルチェック。オーストラリア対策を練りに練る。【八反誠】

 ◆過去の日本のオーストラリア戦 国際Aマッチ通算8勝9分け7敗と白星が1つ先行(PK戦は引き分け扱い)。ホームでは7試合3勝4分けと負けなし。ただ、W杯と同予選に限ると、通算0勝5分け3敗と未勝利。日本がW杯予選で勝ち星がないのは他にイスラエルと中国だけ。イスラエルは92年に欧州サッカー連盟(UEFA)に加入したが、アジアサッカー連盟(AFC)時代の73年と77年に日本はそれぞれ2試合ずつ対戦4戦全敗。中国とは80年に1試合だけで0-1で敗れている。