元日本代表FW鈴木隆行氏(41)が日本代表に「意思の強さ」を求めた。20日、千葉県流山市の江戸川大のオープンキャンパスで「社会学部現代社会学科」の特別講義を行った。

 31日にW杯アジア最終予選オーストラリア戦を控える代表チームに「情熱もあるし、経験も豊か。厳しい試合になるが、気持ちもチームワークもある」と太鼓判。キーマンとして「DFリーダーの吉田、開幕から2試合連続得点している岡崎は経験が豊富でカギになる」と欧州組を指名。「今、勢いのある選手より、意思の強さが重要」と経験値に重きを置いた。

 02年日韓W杯の1次リーグ・ベルギー戦でゴールを決め、“銀狼”と評された鈴木氏は「意思の強さ」を地でいくサッカー人生だった。無名で実績もなかったころに、ブラジル・CFZへ2度の移籍。言葉も通じず、不眠症に陥り、「うつ病みたいになった」と苦境の当時を振り返る。それでも「世の中のルールとして、あきらめたり、手を抜いたりしたら、サッカー選手として生き残れない」と心に刻み、毎日ビーチで6キロのランニングを己に課した。あまりの辛さに3キロ時点で放心状態となり、涙を流しながら3時間ほど動けなかったこともあるという。

 それでも異国生活を耐え抜き、00年の川崎F時代は夏場に戦力外状態となったが鹿島に復帰し、レギュラーに定着。わずか2年後にW杯で大活躍し、欧州移籍で欧州CL出場を果たすなどスターダムをのし上がった。

 講義を受けた参加者に対し、自身の体験をベースに「どの世界でも競争を勝ち抜かないといけない。普通にやっていたら成功はない。奇跡も起こらない。奇跡を起こすための根拠がいる」と熱く語った。現在はプロクラブの監督を目指し、勉強中。「また外の世界に行きたい」と指導者としての海外挑戦の夢も膨らんでいる。