絶好調男の日本代表FW杉本健勇(24=C大阪)が「歴史」をつくる。日本代表は27日、勝てばW杯ロシア大会出場が決まる最終予選の31日オーストラリア戦(埼玉)に向け、さいたま市内で練習を始めた。W杯予選に初招集された杉本が、最終予選に初出場して初ゴールを決めれば、日本初の快挙。ハリルホジッチ監督からも期待される男は「初物ずくめ」に意気込んだ。

 月明かりに照らされた杉本の顔に、国を背負う覚悟が見えた。2年前に国内組の合宿に招集されたことはあるが、実質初めての日本代表の練習。ランニングでは先頭を走り、積極的に存在をアピールした。

 「大事な試合だし、来てみてあらためて感じた。明日、明後日からは(実践的な)練習もすると思うので慣れていきたい」

 大記録が懸かっている。W杯最終予選が国際Aマッチ初出場となったのは、FW呂比須やハリルジャパンのMF大島ら5人いるが、ゴールは1人も決めていない。W杯予選まで広げても、初出場初ゴールは54年3月7日のスイス大会予選韓国戦(1●5)の長沼健(当時中大、元日本サッカー協会会長、故人)だけ。オーストラリア戦で決めれば、日本のサッカー史上に残るゴール。「歴史に名を残したいね」。杉本はニヤリと笑った。

 ハリルホジッチ監督も期待する。練習で仲間がボール回しをする間に、杉本1人を呼び寄せた。身ぶり手ぶりを交え、約4分間の熱血指導。「『ゴール前のところで引きすぎず、前に入って来い』と言われた。勝負しろ、と」。明確な役割について指示を受け、最後に頭をポンとたたかれ、気合も入った。「(ゴールは)そりゃ欲しい。でも、勝つことが一番大事なので集中したい」と言い切った。

 FWは9人招集されており、競争は激しい。だが、J1で14点を挙げランク2位の絶好調男には、当然自信もある。Aマッチ出場経験がなく、情報が少ないことも利点だ。高さがあるオーストラリアに対して187センチの長身はフィジカル負けせず、まさに「秘密兵器」といえる。「ずっと目指していた場所」という日本代表の舞台で、24歳の新星が歴史を動かす。【小杉舞】