国際親善試合ニュージーランド戦(6日、豊田スタジアム)に向けた日本代表合宿が1日、愛知・豊田市内で始まった。来年6月のW杯ロシア大会出場決定後は最初の代表活動で、いきなりバヒド・ハリルホジッチ監督(65)のロング演説が復活。選手たちに18分49秒に及ぶ長~いダメ出しをかまし、8カ月後に迫ったW杯メンバー入りを懸けたサバイバル開始の雰囲気をつくった。浦和勢と海外組は2日から段階的に合流する。

 国内組の一部9人が参加した代表合宿は、ハリルホジッチ体制の練習前としては推定で2番目に長い19分近いミーティングから始まった。しかも内容はダメ出しに次ぐダメ出し。「ここにいるメンバー全員、昨日(9月30日のJリーグ)は良くなかった。昨日の試合で勝ったのも川崎Fだけ」。痛いところを突かれ、黙って下を向く選手が続出。限られた合宿期間でW杯出場を目指していたため、ここ最近は5分程度と短めに切り上げる傾向にあったが、W杯出場を決めたからか以前の“長編”に戻った。

 リーグ戦の連勝が5で止まった鹿島DF昌子は失点に絡んだことを叱られ、川崎Fに大敗したC大阪FW杉本はフィジカルの強さを求められるなど個別指導も行われた。円陣の中心でハリルホジッチ監督のジェスチャーは徐々に大きくなった。随所に「W杯」という単語を挟み「ネイマールにスペースを与えたら置いていかれる」と、11月に親善試合での対戦が決まっているブラジル代表エースの名前も挙げた。演説によって、W杯代表メンバー入りをかけた競争が始まるという意識を根付かせた格好だ。

 選手たちは敏感に反応した。昌子は「完璧を求められていると感じた」と、気を引き締めた。GK東口も「W杯に向けての試合とあらためて感じた」。ハリルの先制“口撃”からは、格下相手の親善試合2連戦という、甘い雰囲気は一切漂ってこなかった。【高田文太】

 ◆ハリルホジッチ監督の大演説 合宿中の練習はまずピッチ上で輪になり、指揮官から選手への話でスタートする。最長とされるのは15年8月の東アジア杯(中国)の大会中合宿8日目の23分3秒で、今回の18分49秒、そして17年3月のUAE合宿初日の約17分が目立っている。合宿初日は特に話が長くなる傾向がある。演説は得意で、今回のメンバー発表会見でも発表を後回しにし、日本サッカーへの提言を約18分も熱弁。W杯出場を決めたオーストラリア戦翌日の会見では約65分も一方的にまくし立てた。