日本代表MF倉田秋(28=G大阪)が代表初ゴールで勝利に導いた。後半37分から途中出場し、その5分後に頭から飛び込んで決勝点を挙げた。5試合目で待望の初得点は、代表生き残りのアピールとなった。同じく途中出場のMF小林祐希(25=ヘーレンフェイン)も好プレーで存在感を示し、「赤点軍団」の中では数少ない及第点組。背番号10のMF香川真司(28=ドルトムント)は不完全燃焼に終わり明暗が分かれた。

 無我夢中で飛び込んだ。倉田は後半42分、乾の左クロスから酒井宏が頭で折り返した球に反応。頭から突っ込み、GKとぶつかりながら決勝点を挙げた。待望の日の丸初得点が刻まれた。

 「(パスが)来たら絶対狙おうと思っていた。気持ちで押し込むだけだった。決勝点という形で貢献できてよかった。やっぱり初得点は特別」

 目標のW杯出場へ大きな1歩を踏み出した。日韓大会を除くW杯4大会で出場決定直後の親善試合で得点した全8人は、本大会で23人のメンバーに入っている。通常の交代枠は3人だが、この試合は6人までが許され、倉田は5人目の交代。運も味方にしてロシア行きもデータ上“当確”にした。

 今回負傷で未招集の柴崎らライバルが多い攻撃的MFで、短い出場時間でアピールできた。「今日のゴールはサッカー人生で一番うれしい。でもW杯のゴールの方がうれしいはず。ここからがスタート。しっかりやらないと。全ての面でまだまだ」。この日、父穣(ゆたか)さんと母尚子(ひさこ)さんが大阪から観戦に駆けつけた。「何かやってくれるんじゃないかと思っていた。目の前で見られて良かった」と父を感激させた。

 G大阪では今季から10番を背負い、J1で28試合8得点。結果を残して代表に上り詰めた。G大阪下部組織で育ったが「ここで無理ならサッカーをやめる」と10年にはJ2千葉に移籍した。11月生まれという理由で名前は「秋」と書いて「しゅう」と読む。苦労人の28歳が、大収穫の秋を迎えた。【小杉舞】

 ◆倉田秋(くらた・しゅう)1988年(昭63)11月26日、大阪府高槻市生まれ。G大阪ジュニアユース、同ユースを経て07年にトップ昇格。10年にJ2千葉、11年C大阪に期限付き移籍、12年からG大阪に復帰した。172センチ、68キロ。