サッカー日本代表監督の初陣が初めて消滅した。日本協会は6日、地震の影響で、7日に予定された国際親善試合チリ戦(札幌ドーム)を中止すると発表した。東京オリンピック代表との兼任が決まった森保一監督(50)の就任初戦だったが断念。スポーツ各界で影響が相次いだ。

初陣を翌日に控えた森保ジャパンが大地震に見舞われた。6日午前3時8分。札幌市内のホテルで就寝中だったイレブンは、高層階の大きな揺れと緊急地震速報で跳び起きた。低層階の食事会場に1時間ほど避難した後、朝食は停電した自室でのパンだけ。昼食以降は自家発電装置が復旧して通常に戻ったものの、信号が消えてバスが走れず、練習場にも行けなくなった。

まず公式練習が中止となり、取り組めたのはホテル近隣の公園までの散歩、20分弱の準備運動だけ。手信号で交通整理する警官の笛が鳴り響く中、森保監督は選手を集めてチリ戦の中止を告げ「想定外のことが起きても、与えられた環境に感謝して乗り越えるしかない」と言うほかなかった。

初の8強を狙う22年ワールドカップ・カタール大会への第1歩だったチリ戦は、初招集6人を含む若手の大胆起用を考えていた。しかし、代表監督の初陣としては初の中止に。関係者によると、札幌市内の別会場を確保した上でチリとの練習試合に切り替える案も模索したが、被害の甚大さ、インフラ崩壊を勘案して断念。南米王者との対戦機会を失った。指揮官は「海外組も呼んでいたので残念ですが、自然災害には太刀打ちできない。犠牲になった方々のご冥福をお祈りしたい」。神妙な口調で晴れ舞台を諦めた。

今日7日も練習できるか分からず、新千歳空港の全便欠航に伴い8日の大阪移動も流動的だ。それでも11日コスタリカ戦へ切り替えた。「試合したいです。選手のプレーを、見たいです」。初の公式会見の代わりに宿舎前で囲まれた森保監督は、混乱の中で切実な思いも隠せなかった。【木下淳、保坂果那、岡崎悠利】