初めての日本代表にも、物おじなどまるでなかった。20歳のMF堂安律(フローニンゲン)は古巣ガンバ大阪の本拠地で先発し、躍動した。生き生きとした動きで、幾度となくゴールを脅かした。代表初招集でA代表デビュー。東京五輪世代では一番乗りだった。

試合前の先発紹介、スタジアムに響いた「堂安律」のアナウンスに一番の声援が送られた。応援に応えるよう堂安は堂々とプレーした。後半14分、MF中島翔哉からFW小林悠と渡り、出されたスルーパス。GKと1対1になった。若さあふれる強シュートを放つかと思いきや、得意の左足で浮かせた。だが、ほんの少しGKの体に当たり、DFにクリアされた。

同19分にはMF南野拓実へ速いパスを供給。ボールがこぼれると、いち早く反応し、左足で切り返してDFを置き去りにした。右足で放ったシュートは惜しくも枠を捕らえることはできなかったが、スタジアムを沸かせた。だが、もちろん満足はしない。「どれだけ惜しくても結果を出さないと意味がない。悔しい」と、納得しなかった。

大阪入り後は「帰ってきたな、という感じ」と“ホーム”の安心感に加え「コンディションが上がってきた」と、自身の状態の良さに驚いていた。デビュー戦は、中学時代から下部組織で育ったG大阪のホーム・パナスタ。「運命と言っていいのか分からないけど、いい思い出がたくさんある場所」。その思い出に、新たな1ページが刻まれた。

昨夏にオランダに渡ると、1年目は9得点を挙げた。サポーターが選ぶMVPにも輝き、今季は背番号が「25」から期待を受けて「7」に替わった。今季開幕戦のフィテッセ戦ではいきなりゴールも挙げた。結果を出して、日本代表として地元に戻ってきた20歳。後半40分に退くと、大きな歓声を浴びた。4年後のW杯カタール大会に向けて、大きな1歩を踏み出した。