U-16アジア選手権で6大会ぶり3度目の優勝を飾ったU-16日本代表メンバーが9日早朝、成田空港着の便で開催地のマレーシアから帰国した。森山佳郎監督(50)は「非常に濃い1カ月でした。空港でバスが4時間来なかったり、練習場をたらい回しにされたり、試合が雷雨で中止になったり、いろいろありましたが、選手たちは笑ってやり過ごすたくましさがありました」と、さわやかな表情で激闘の6試合を振り返った。

1次リーグを首位通過し、U-17W杯(ワールドカップ)(19年10月、ペルー)への出場権をかけたオマーンとの準々決勝を勝ち抜き、大きな目標は達成した。森山監督は「これからが競争。ここからはい上がってくるたくましさがないと、この後のフル代表、五輪代表への戦いに生き残っていけない。この1カ月を過ごせたことは、選手たちにとって大きなアドバンテージ。これから、それぞれの所属に戻って、必死に努力してもらいたい」と、ここからの成長を強く選手に求めた。

優勝を決めたタジキスタン戦の後は、宿舎で選手1人1人があいさつ。出場時間が少なかった選手の中には涙を流して悔しさを表す選手もいた。「優勝チームとは思えないほど、しめやかというか、静かな会でした」と、森山監督は選手個々の複雑な心境を思いやった。来年2月にチリ遠征に臨み、10月のペルーでのU-17W杯本番に備える。「本番までの活動は5、6回でしょう。今回選ばれなかった選手は必死にやっていると思います」とし、今後も幅広くスカウティングをしながら有力選手の情報を収集していく。

また、決勝戦で大会初ゴールを奪い、チームを優勝に導いたFW西川潤(16=桐光学園)は「大会を通して守備面や、チームへの貢献する動きなど、多くを学べました。マレーシア戦後には監督から厳しくチームへの献身性の大切さを言われましたが、監督の言葉をよく考えてプレーしました」と、疲れた様子も見せず快活にコメントした。今後も競争が続くが、この年代のエースとして「10」番を背負った経験は大きい。「決勝でのゴールは今までで一番うれしいゴールになりました。10番をつけて試合をする魅力を感じることもできました」。息つく暇もなく今月中旬からは全国高校サッカー選手権の神奈川予選が佳境を迎える。ゆっくり休む暇もないが、今が伸び盛りの16歳は、来年のW杯を見つめ、すぐにチームに戻って練習に参加することになる。