DF冨安健洋(19=シントトロイデン)がフル出場し、Jリーグ開幕以降ではセンターバックとして初めて10代でA代表デビューを果たした。

開始直前。冨安は経験したことのない感覚の中にいた。「緊張かもわからない。頭がぼーっとしていた」。今年1月に移籍したシントトロイデンでは今季10試合にフル出場も、「(最近は)調子はよくなかった。(今日も)『よっしゃいこう』という感じではなかった」。万全だと思えないコンディションで迎えるA代表の舞台に少なからず感じていた不安が、普段どおりの思考を邪魔した。

それでも、試合開始の笛が鳴ったら体は動いた。クロスが上がるたびに、188センチの長身を空中戦へ投げ出す。「ゴールキックとか、自分が(競りに)いかないといけないところはあった」と反省点を挙げたが、パナマ相手にことごとく競り勝った。MF南野拓実の先制点は、中盤で出足するどくプレスをかけて相手のカウンターをつぶしたことが起点だった。

本職の守備だけでなく攻撃にも積極的に参加。味方ボール時は右サイドに開いてパスを受け、FW大迫勇也やMF南野らに鋭い縦パスを幾度も供給した。カットされることもあったが、「自分のサイドのほうが(攻撃を)作りやすかったので」と積極性を失わなかった。「感触は悪くなかった。もっと難しいシチュエーションも出てくると思うし、よりよくしていきたい」。本調子とは言えないながらも、無失点。手応えはつかんだ。

まだ19歳の東京オリンピック(五輪)世代だ。途中出場したMF堂安律に続き、“東京組”では2人目のA代表デビュー。「同世代の選手の活躍は刺激になるし、負けないようにと思いながらやっている。切磋琢磨したい」と笑顔を見せた。森保一監督が新旧世代の「融合」をチーム作りの大きなテーマとする中で、今回チーム最年少の東京組がたくましい姿を見せた。