ワールドカップ(W杯)3大会連続出場のDF長友佑都(32=ガラタサライ)が、「世界一」と自負するコミュニケーション力でウルグアイ戦(16日・埼玉)に挑む。日本代表は3-0で快勝したパナマ戦から一夜明けた13日、新潟市内で練習後に埼玉へ移動した。ウルグアイ戦の先発が濃厚な長友は、FIFAランク5位の強豪相手に、自らの経験を惜しみなく後輩たちに伝授し、組織的な守備力で対抗する構えだ。

パナマ戦で出番のなかった長友は、DF吉田らと戦術練習でみっちり汗を流した。「世界レベルになると、ミスが失点につながる。そこは修正していかなければいけない」と、W杯ロシア大会8強の強敵を見据えた。

パナマ戦では23歳のMF南野、19歳のDF冨安が躍動。32歳のベテランは「成長しないと若手に追い抜かれるという危機感も芽生えた」と刺激を受けた。一方で気になる点もあった。21個のファウルで相手に直接FKを与えたことを指摘。強豪国は確実にセットプレーをものにし、その1点が勝敗を分けることを熟知している。それだけに「ギラギラした気持ちでプレーすることは大事だけど、ピッチに入ったら頭は冷静でいないと」とリスクに応じた対処を求めた。

自らの特長を「コミュニケーション力」と言う。「コミュニケーションで世界大会があったら優勝できるんじゃないかという自信も持っている(笑い)。その実力を生かしたい」。世界一のコミュニケーション力で、ロシア組と若手の融合を図る覚悟だ。

若手に伝授したいことは、自身がインテル時代に身に付けた「ずる賢さ」だ。当時、ともにプレーしたアルゼンチン代表MFサネッティ、カンビアッソから「試合の最初から間を空けるな。行け」と指示され、危険でない場所でファウルし「こいつ、来るな」と思わせる術を学んだ。「特に海外選手は、日本人は体が小さくフィジカルが弱い、と上から目線で来る部分がある」とし「最初のプレーで、おれはここにいるぞ、と精神面でダメージを与えると駆け引きや勝負は変わってくる。そこも若手には伝えていきたい」と熱く語った。

長年主将を務めたMF長谷部が代表を引退し、プレーや言動で強力な個性を放ったMF本田も今回はいない。百戦錬磨のベテランが、重要な役割を買って出た。【岩田千代巳】