スペイン1部の強豪レアル・マドリードの下部組織に所属する「ピピ」ことU-15(15歳以下)日本代表MF中井卓大(たくひろ=15)が10月30日、フランス・パリ郊外で行われたバルドマルヌU-16国際大会初戦のオーストリア戦に前半途中から出場した。先制点の起点となる活躍でチームも2-0の勝利。試合後には、4年後のワールドカップ(W杯)カタール大会出場を目標に掲げた。

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3月のキリンレモン杯、中井のプレーをピッチ脇で取材した。目を引いたのは自らが動くべきと判断し、スイッチが入った時の鋭い動きだ。中盤の深い位置に入った中井は、ボールが入ると周囲を見渡し、サイドで味方が動きだしていればパス、自らが仕掛けられる時はドリブルで前線に切り込んだ。守備では、相手がボールを持ったサイドにすかさず寄せ、体を張って相手選手のコースを消していた。個の力と大人びた冷静な判断力は、同年代の日本人選手にはないものだった。

試合中は15歳以下のチームながら容赦なく怒声が響き渡っていた。関係者によると、結果を出さなければ昇格できないため、各選手どんなに小さな試合でも結果を追求するという。その中、中井は常に冷静に周囲を見つめ、我を張る選手が多い中試合中に手薄なエリアをカバーしていた。周囲に笑みを振りまき和を尊ぶ姿勢も日本人らしく、試合後は家族、関係者とはしゃぐ、あどけない顔も見せた。

日本人らしい心を持ちつつ日本人離れした個の力を持つ中井は、きっと将来の日本代表の武器となるだろう。【村上幸将】