【アルアイン18日】日本代表森保一監督(50)が決勝トーナメント(T)も「不変」の構えで2大会ぶり優勝を目指す。17日の1次リーグ第3戦のウズベキスタン戦ではメンバーを10人も入れ替え、抜てきしたFW武藤嘉紀(26=ニューカッスル)とDF塩谷司(30=アルアイン)のゴールで2-1で逆転勝利。3戦全勝で1位通過を決めた。この日はオフで休養し、21日の決勝T1回戦での対戦が決まった強豪サウジアラビア戦の行われるドバイ近郊のシャルジャに入った。

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中東の強い日差しを浴びながら、森保監督が柔らかな表情で話し出した。休養日の昼すぎ。アルアインの宿舎で報道陣に対応した。1次リーグは3戦全勝で首位突破と第1目標を達成。屋外の生い茂る緑の芝の前で「わざわざ来ていただいてありがとうございます」とほおを緩めた。ここからは1発勝負の決勝Tに挑む。「目の前の1戦に最善の準備をしていく。その勝利を目指して何ができるか、ベストを尽くす」とリーグ戦と同様に、まだ先の頂点ではなく直面する1試合に集中した。

17日のウズベキスタン戦も、信念を貫いて逆転勝利をもぎとった。1位通過には勝利が絶対条件の試合でも、今大会に掲げた「総力戦」のテーマに沿い、先発メンバーを10人も変更。決勝Tを前に主力を温存してサブ組に経験を積ませながら、勝利を求めた。

指揮官の思惑は勝利となって結実した。前半40分に先制されたが、わずか3分後にFW武藤が右クロスを頭で合わせ、日本代表で3年3カ月ぶりとなる同点弾。後半13分には地元アルアイン所属のDF塩谷が、こぼれ球に左足を振り抜き、強烈なミドルシュートを突き刺した。今大会初先発させた追加招集コンビを中心にサブ組が躍動。腰痛で別メニュー調整のGK東口を除く22選手を1次リーグ3試合で起用し、今大会初めて交代枠も使い切った。「選手たちが総合力を見せようと、総力戦で臨んでいると、結果をもって示してくれて良かった」。決勝Tを戦い抜く態勢を整えた。

21日の相手はサウジアラビアに決まった。分析はこれからだが「うまくて強い。W杯にも出るだけにアジアでトップクラス」と警戒レベルを高めた。「ギリギリの試合を勝っていると、忘れないでやっていきます」。浮かれず、臆せず-。全勝でのアジア制覇に向けて最後は表情を引き締め、次なる戦いの地シャルジャに入った。【浜本卓也】

◆日本のサウジアラビア戦 国際Aマッチ通算対戦成績は8勝1分け4敗と勝ち越し。直近の対戦は17年9月5日のW杯ロシア大会アジア最終予選の最終戦(アウェー)で、すでに本大会出場を決めていた日本は0-1で敗戦。サウジはこの勝利でW杯出場権を獲得した。アジア杯の対戦に限ると日本の4勝1敗。今大会のサウジは1次リーグを2勝1敗、E組2位で突破。最多得点者はFWのF・ムワラドで2得点。監督はチリ代表などを率いた経験のあるアルゼンチン出身のピッツィ氏。