MF長谷川唯(22=日テレ)が、澤穂希さんの魂を受け継ぐ。サッカー女子W杯フランス大会(6月7日開幕)に臨む日本代表「なでしこジャパン」のメンバー23人が10日、日本協会から発表された。

1クラブから史上最多10人を輩出した日テレの選手らは川崎市内で会見。6大会連続W杯出場のレジェンド引退後初めてのW杯で、長谷川が新たにチームの中心となる覚悟を示した。

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次世代のヒロイン候補は、引き締まった表情で会見場に現れた。長谷川は初のW杯への挑戦が決まっても、浮かれた様子はない。選手としても人としても理想に掲げるのは、国民栄誉賞を受賞し、なでしこ人気をけん引した澤穂希さん。誰もが知るレジェンド不在のW杯は28年ぶりとなるが「プレースタイルは違えど、守備面での予測や大事なところにいることなど、苦しいときのプレーはチーム全体に力を与える。そういう部分で目標にしています」と、大きな背中を追いかける。

確かな技術と2列目からのチャンスメークが持ち味。それを支えるのは無尽蔵のスタミナだ。中学1年で加入した日テレ・メニーナ時代のピッチ外周を走るランニングでは、いつも先頭を走っていたという。当時の監督で現東京Vアカデミーダイレクターの寺谷真弓氏(47)は「いい走りっぷりで、そのまま鍛えたらマラソン選手になれていたと思う。彼女がプロまでいけたのは技術だけじゃなく走れる力があったから」と振り返る。加えて根っからの負けず嫌い。「気持ちの部分をどんどん出していこうというのがプレースタイル」と、156センチの小さな体で欧米勢相手に果敢に勝負を仕掛け、なでしこの攻撃をけん引する存在にまで成長した。

初めての大舞台に向けて「相手の逆を取るプレー、見ている人が楽しいと思えるプレーをして、結果的にそれが優勝につながれば」と意気込む。この日は長谷川とDF清水のプロ契約締結も発表された。日テレでは岩清水、阪口、中里、山下に続き、これで6人目。世界での戦いを前に、サッカー1本で勝負する覚悟を形に表した。いざ、勝負の舞台へ。日本の未来を背負う22歳の挑戦が始まる。【杉山理紗】

◆長谷川唯(はせがわ・ゆい)1997年(平9)1月29日、埼玉県戸田市生まれ。兄の影響でサッカーを始め、中学1年時に日テレ・メニーナに加入。各年代別代表にも選出され、14年U-17W杯コスタリカ大会では優勝を経験。13年に日テレ・ベレーザでトップチームデビューを果たし、17年1月のアルガルベ杯でA代表デビュー。156センチ、46キロ。