サッカー女子ワールドカップ(W杯)フランス大会(6月7日~7月7日)の日本女子代表(なでしこジャパン)に初選出された新潟レディースのGK平尾知佳(22)が13日、勤務先の新発田市役所で二階堂馨市長(67)を表敬訪問した。

激励を受け、W杯本番での試合出場を果たして新発田を盛り上げることを次の目標に定めた。平尾は19日のなでしこリーグ第9節仙台戦(福島・あいづ総合運動公園陸上競技場)後の22日に、なでしこジャパンに合流する。

   ◇   ◇   ◇

平尾の表情が和らいだ。市長室で二階堂市長の喜びを目の当たりにしたときだった。「市にとって、令和第1号の吉報です」。最大級の賛辞だった。続く激励はしっかりと受けとめた。「(W杯のメンバーに入る)夢は果たした。今度は世界で優勝することが大事」。大きな期待にモチベーションは高まる。「これからアピールしてW杯で1試合でも多く出場したいです」。改めて本番のピッチに立つことを目標に掲げた。

新発田市役所スポーツ推進課の職員として午前8時30分から午後3時30分まで勤務する毎日。市内の幼稚園、保育園を訪れて子どもたちにサッカーを教え、デスクワークもする。10日になでしこジャパン入りが決まった後、この日が初出勤。職場の同僚からは「おめでとう」と祝福された。

12日の新発田市五十公野公園陸上競技場でのなでしこリーグ・日体大戦は0-0の引き分け。白星は奪えなかったが、平尾は3試合連続無失点と好調さを披露した。試合後はピッチ上でW杯壮行セレモニーが行われ、あいさつをした。“地元”の注目度は高まってきた。「サッカーに取り組む環境を整えていただいている」と感謝を忘れない。

昨年浦和から新潟に移籍。浦和時代に左手親指の靱帯(じんたい)を損傷していた。患部を癒やすため、同市月岡温泉の「手湯の杜」を訪れた。「血流が良くなり、練習でも調子が良くなった」。W杯メンバー入りには市内名所の好影響もあった。

「ホテルの枕では眠れないので」と、フランスには愛用のマニフレックスの枕を持ち込む。試合に向かう気持ちを高めるため、愛読書のマンガ「スラムダンク」の単行本最終巻も持参する。この日は市長訪問後、新潟市内でW杯で使用するスパイクのソールを制作。準備は整いつつある。「優勝して新発田を盛り上げたい」と決意を言葉にした。【斎藤慎一郎】

◆平尾知佳(ひらお・ちか)1996年(平8)12月31日生まれ、千葉県出身。5歳からサッカーを始める。JFAアカデミー福島に所属し、富岡高(福島)を卒業。15年に浦和に入団。U-17、19、23の日本女子代表に選出される。16年に日本女子代表入り。18年に新潟に移籍し、同年のアジア杯の日本女子代表に選出された。ポジションはGK。173センチ、65キロ。