日本サッカー協会(JFA)は23日、6月のキリンチャレンジ杯2試合に臨む日本代表を発表した。17歳のMF久保建英から、36歳のGK川島永嗣まで幅広いメンバー構成に。狙いを持った森保一監督の招集の理由に迫る。

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17歳の久保、19歳の大迫敬が初招集された。南米選手権への派遣メンバー入りが内定している鹿島安部も含め、3人は今月5日までにU-20ワールドカップ(W杯)の出場回避が決まった。その後、日本協会には、ある懸念の声が寄せられたという。U-20代表なら主力中の主力としてフル稼働が確実な中、南米で出場機会が限られた場合はどうするのか-。関係者によると、協会側はそのことも念頭に、各クラブとの交渉で「南米の最低3試合+キリンチャレンジ杯の2試合、計5試合で一定の出場機会を確保させたい。Aの雰囲気も味わってもらいたい」と提案したという。

ただ、これは森保監督が約束したことではない。当然ながら起用に関して不可侵の全権を持っている。会見でも久保、大迫の飛び級招集について「彼らが勝ち取ったもので、年齢は本当に関係ない」と強調。久保が直近のJ1で2戦連発していることにも「そういうデータも見て呼ばせてもらった」。通常より4人多い27人の編成とはいえ「シンプルに」実力でフルのA代表に組み込んだ。ここからは横一線の競争になる。

一方で川島、岡崎の招集は早い段階で決めていたという。中島、南野らリオ五輪世代、堂安、冨安ら東京世代、さらにはパリ世代でもある久保とベテランを絡ませるべくクラブに招集レターを送付。昨夏W杯からの腹案だった。コーチを務めた森保監督は、当時U-19代表だった久保らがトレーニングパートナーとして同行し、16強メンバーから刺激を受ける姿を見た。「一緒に練習し、生活をともにすることで若手の意識がかなり変わった」。その光景がずっと脳裏にあった。

温めていたプランの発動を昨年7月の就任後から見計らい、活動が重なって約1カ月間の合宿が確保できる今回のタイミングを待っていた。この日の会見も「先輩の背中やプレーを見て学び、言葉でも伝えてもらいながら成長につなげていってもらえれば」。必然の初招集だった。【木下淳】