ベルギーMFシャドリは、W杯ロシア大会について「一番の思い出は日本戦のゴール」と振り返った。決勝トーナメント1回戦。ベルギーは大会史に残るカウンターを日本に浴びせた。MF本田のCKをキャッチしたGKクルトワからMFデブルイネ、MFムニエへとつなぐ。シャドリが決めるまで、わずか14秒だった。

あの攻撃はいかにして生まれたのか。左サイドを一気に加速したシャドリは、クルトワの視線を見た瞬間にゴールへのイメージを描いていた。「クルトワは、はじめはアザールにボールを入れようとしていた。だけど、マーク(長谷部)がついていた。彼は急きょ、デブルイネに変えていた」。

中央をドリブルするデブルイネ、前線を走るFWルカクらとともに一気に日本陣内へ突入していく。ボールはデブルイネからムニエに渡る。その瞬間、右を向いていたルカクが首をキュッと振った。「あの時『ルカクはスルーする』と予感した」。

全速力でゴールへ走りながらの首振り。シャドリにとって、自分を視界に捉えたと確信を持つに十分なモーションだった。ムニエから低く速いクロスがゴール前へ送られる。ルカクは触らずに股を通した。右足を合わせるだけだった。

突然の嵐のような14秒だった。後半ロスタイムの極限状態の中、クルトワがデブルイネにボールを投げた瞬間に、ゴールのイメージは3手も4手も先のフィニッシャーであるシャドリにまで共有されていた。勢い任せではない「連動」を見せつけた。ベルギー代表のマルティネス監督は「スピードと質は当然。信じる力が大事だ」と振り返った。【岡崎悠利】