気鋭の18歳が大いなる可能性を見せた。日本代表MF久保建英(18=マジョルカ)が5日、国際親善試合キリンチャレンジ杯パラグアイ戦(カシマ)に後半開始から途中出場し、得意のドリブルやパスでリズムを作り、攻撃の中心となった。代表史上最年少ゴールは持ち越しとなったが、10日のミャンマー戦(ヤンゴン)から始まる22年W杯カタール大会アジア2次予選での活躍を予感させた。試合はFW大迫勇也(29=ブレーメン)、MF南野拓実(24=ザルツブルク)のゴールで2-0で快勝した。

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決して平らでない22年カタールへの道、それを踏破する力を久保が示してみせた。後半開始からMF堂安に代わって右サイドで出場。4分に右寄りの位置で反則を得ると、自ら直接FKを狙った。9分には1対1でボールを奪い、サイドライン際で3人で囲まれながら切り抜けてFW大迫へのパスでチャンスを演出した。突出した打開力。前を向くたびにスタンドがどよめいた。

最初のチャンスは13分。左サイドを攻め上がるMF原口に反応し、猛然と中央を走ってゴール前へ。絶妙なクロスボールに対し、フリーで左足を丁寧に合わせたが、DFの足に阻まれ得点はならなかった。続く14分にはゴールライン付近の角度のないコースから狙うもクロスバーに嫌われた。「チャンスがあれば、と思っていた」。中央にも顔を出してパスを引き出し、積極的にゴールを狙った。

いつものように落ち着き払っていた。14歳で帰国した時から常に期待と重圧を背負いボールを追った。今夏にはスペイン1部Rマドリードのトップチームで、ドイツの雄Bミュンヘンなどと対戦。非公式の試合ながら“世界最高峰”の舞台に立った。日の丸を付けても気押されることはない。

たくましい18歳の挑戦は始まったばかりだ。「自分の力で変えていくしかない」と話すように、序列を覆すのは簡単ではない。この日も2列目のMF中島、南野、堂安と1トップの大迫は呼応し、鮮やかな連係でゴールを脅かした。個にとどまらない力を生み出す1人になるには時間は不可欠。ただ、森保ジャパンの戦力であることを示すには45分間で十分だった。

いつでもピッチで答えを示してきた。バルセロナ下部組織出身という肩書をきらい、「年齢は関係ない」と飛び級という言葉をきらった。大事なのは目に見える結果。常に自分に厳しく言い聞かせてきた。この日は惜しくもゴールを逃し、天を仰ぐこと3度。「他に選択肢がある中でシュートを狙っているので、決めないといけない」。スタンドを沸かせに沸かせても、これしきのことで笑顔は作らなかった。悔しさの中で得た手応えを手に、W杯への挑戦を迎える。「自分は初めてなので、チャンスがあれば楽しみたい」。持ち越しとなった“満点回答”はミャンマーの地で見せればいい。【岡崎悠利】