国際親善試合キリンチャレンジ杯(5日、カシマ)でパラグアイに2-0で快勝した日本の森保一監督(51)が、試合後会見に出席した(会見全文)。

-試合を振り返って

まずは、パラグアイという強豪を迎えて、勝利できたこと。勝利をサポーターの皆さんにお届けできたことは良かったと思います。パラグアイも、我々日本代表も、この試合までの調整という部分は難しいところがあったと思いますが、選手たちが限られた時間の中で、各自のコンディションを上げていく。そして、試合の進め方、チームの戦い方のイメージの共有をしてくれたことが良かったと思います。試合は、アグレッシブに勝利するために、入りから集中してくれて先制点を奪い、無失点で締められたことは、簡単ではないと思うので良かった。結果につながって良かった。しかしながら、勝利したことは素晴らしいことだけど、試合を決める3点目を奪うチャンスはあったし、選手が変わった後、もっと安定したゲームができたはず。勝ったことに浮かれず、さらに上を目指してやっていければと思います。今日の試合は既に終わったこと。過去のこと。次のミャンマー戦に向けて最善の準備をして、アウェーの難しい戦いにしっかり勝てるように準備したいと思います。

-呼吸が合っていた攻撃陣4人の出来、評価を

そうですね。まずは攻撃陣の4人ですが、コンディションやトレーニングの時間という意味では、昨日、試合前に少し時間が取れた程度。本当にこう、連係連動するために、どれだけトレーニングできたか分からない中で、お互いが意思疎通を図り、イメージを共有してくれた。連係連動と個で突破する部分の良さを発揮してくれた。あとは攻撃だけではなく、チーム全員で攻撃をしよう、チーム全員で守備をしよう、というところ。前線を生かすためにGKからビルドアップにトライしてくれて、攻撃につなげてくれた。攻撃の選手も、守備にかかわる意識を持って試合を進めてくれた。プレーしてくれた。今後もつなげてほしい。

-1ボランチの脇をうまく狙っていた

相手の攻略については、トレーニングで細かいことをしたわけではないけど、分析担当スタッフが相手の特徴を伝えてくれて、選手がピッチ上でイメージを合わせながら、攻略してくれた。時間が割けない中、どうやったら攻略できるか、自分たちの良さを出せるかチームのために考えてプレーしてくれたことが、いい結果につながったと思っています。

-5日後にW杯予選ミャンマー戦が控えている。前回はシンガポールにスコアレスドロー。最終予選の初戦も逆転負け。アジアの初戦の難しさをどう考えているか

サッカーでは、いろんなことが起こり得ると覚悟して臨まなくてはいけないかなと。ただ、少しでも勝つ確率を上げるために、常に試合前に最善の準備をすること、そして個でベストを尽くす、チームとして、つながりを持ってベストを尽くす。事前の準備からベストを尽くして、持っている力をすべて発揮することをミャンマー戦でもやっていきたい。W杯の予選だけではなくて、どんな大会でも初戦は難しい試合になる。そこは既に、選手も覚悟してくれているという風に思います。全選手、スタッフ含めて、前大会の初戦でシンガポールに引き分けたことは認識してますので。我々は、アウェーでしっかり勝ち点3を取れるように最善の準備をして、覚悟を持って臨みたいと思います。すいません、特に、これといってということはないんですけど、相手のことを踏まえた上で戦いに臨みたいと思います。

-ミャンマー戦に向けてなのか分かりませんが、冨安選手を右サイドバックに回した。どういう意図で試したのか。評価も

そうですね。まずは今日のキリンチャレンジ杯の中で、交代枠が6人ある。できるだけ使って、今日の試合に勝利すること、パラグアイ戦の戦いが次のミャンマー戦につながるように考えて、交代枠を使いながら戦いました。冨安の右サイドバックに関しては、本人だけのことではなくて、所属チームで右サイドバックをやっている。日本代表のオプションとして、そこでプレーすることがどういう効果をもたらすか、考えつつ。あとは冨安だけではなく、植田を。所属チームでいいプレーをしているのも確認はしてますので、使いながら、ということで。それで冨安を右サイドに持っていきました。冨安だけではなく、チーム全体のことを考えて、いろんなオプションを持てるように、新たな戦い方を探るという意味でも、ポジションを変えて戦いました。

-W杯予選に向けて、監督ご自身の心持ちやスタイルが変わる部分は

変わるところはないと思います。器用ではないですし、もちろん対戦相手によって、いろんな状況によって準備することも変えなければいけない。先ほど違う質問でも答えさせていただいた通り、当たり前のことを当たり前に準備してベストを尽くすスタイルを継続していきたい。アジア予選はまた違ったプレッシャーがある。選手たちが思い切ってプレーできるように、環境づくりをできればと思っています。

-イメージの共有と言っていた。ゲームをコントロールしながらイケイケにならずに攻めてバランスが良かった。試合前に声をかけていたのか

そうですね。もちろん選手たちに、チームの戦い方としてはミーティング等で声を掛けているところはありますが、まずアグレッシブに向かっていく、守備ではプレッシャーをかけていく。前向きな入り方をしてくれたことは、私が働きかけたというよりも、選手たちが、この試合でしっかり勝利する、ミャンマー戦につながるという集中力と覚悟を持ってくれたことが、内容に反映されたと思っています。

-後半開始から起用した久保建英選手について。プレーの評価と、6月のキリンチャレンジ杯より出場時間を増やした理由は

そうですね。あの、特に彼が、彼だからどう、ということは起用の判断としては自分の中にはないんですけど、6月のキリンチャレンジ杯、そしてコパ・アメリカ(南米選手権)で彼が見せてくれたパフォーマンスを評価して、今日は6月よりも長い時間プレーしてもらうということで起用させてもらいました。内容としては、6月の日本代表ではトップ下というか、中央でプレーすることが多かったですけど、今日はサイドに出た時にどういうプレーができるか。攻撃の部分では起点になり、個で仕掛けて、いい部分を出していたと思いますし、周りをうまく使うこともできていた。また、チームとしてもオプションの1つになるプレーは見せてくれたと思います。ただ、コンセプトの攻守と考えた時には、まだまだチームでの戦い方を、より具現化できるようにトライしてほしいと思いますし、ホントに、ホントにというか、守備の部分では、まだまだ強さは足りないですけど、まずは強さを上げてもらうということと、強さを上げるために、果敢に相手にチャレンジしていた。チャレンジしていく部分は続けて、代表でもトライしてもらえればな、と思っています。

-南米選手権でもパラグアイを見ていたと思いますが、その時と今日では強度にかなりの違いがあったと思う。どう見たか

そうですね。やはりパラグアイ代表は、いい守備からいい攻撃につなげていくチームだと思いますし、今日の試合での戦い方も、球際のところはかなり強くきていたと思います。そこを選手たちは、ひるむことなく、まずは基本の球際での戦いを制していく。予測を持って、相手より1歩速く動いてボールを拾う。そこで上回っていけたことが得点や勝利につながった。パラグアイの強度という意味では、彼らのうち17人は南米から来ていますし、コンディションという意味ではもちろん難しいところがあったと思いますので、そこは差し引いて考えないといけない。しかしながら、我々日本代表も、ほとんどが欧州から来て長距離移動、時差、気候が違う中で調整してくれた。自分たちの話になってしまいますが、与えられた時間の中で、相手を上回る準備をしてくれたことは、選手を評価してあげたいなと思っています。