日本(FIFAランキング31位)がW杯カタール大会アジア2次予選のホーム初戦でモンゴル(同183位)を6-0で下し、開幕2連勝を飾った。トップ下で先発したMF南野拓実(24)が前半22分に先制ヘッド。森保ジャパン単独最多8点目は、93年のFW三浦知良(52)以来26年ぶりとなるW杯予選開幕2戦連発となった。次戦は15日、敵地でタジキスタン(同115位)と首位の座を争う。

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南野(ミナミの)帝王がキングカズに肩を並べた。攻め倒しながら0-0で迎えた前半22分、南野が均衡を破った。MF伊東の右クロスに飛び込み、頭を合わせ、ゴールに突き刺す。11人を自陣に集めて引いた相手からの先制弾。ミャンマー戦に続く2戦連発は、W杯予選の開幕からでは93年米国大会予選のカズ以来で「偉大な選手が立っていた舞台に今、自分が立っている。喜びを感じる」。6発ラッシュの口火を切った。

まだ生まれる前の記録に並び、花を咲かせた男は地道に根を張ってきた。ちょうど4年前の15年10月、親善試合イラン戦でA代表デビュー。ところが、見せ場どころかボールに触ることすらできなかった。「自分の実力を試す間もなかった」。翌月を最後に代表から遠ざかり、W杯も逃した。

その時も今もザルツブルクに住む。「寒い中、1日2時間だけ練習して帰って…。何しに来てんねやろ。代表にも選ばれんし」。公式戦4年連続2桁得点と結果を出しても、悩んだ時期があった4年間。「考えても考えても答えは一緒」だった。「俺が選んだ道や。間違ってへん。絶対に成長できる」。昨冬も今夏もステップアップの選択肢があった中で残留。欧州CLと代表の掛け持ちを選んだ。

今回の合流直前、2日の欧州王者リバプール戦。1得点1アシストした。証明して言った。「W杯で勝つために、あの舞台でプレーする選手が増える必要がある。自分も経験を積んで日本の力になりたい」。迎えたモンゴル戦。珍しい頭での2戦連発も「いい傾向だけど、タイプじゃない。特別な練習もしてないですよ」。愚直に積み重ねる日々が森保ジャパン単独最多の8点目につながっている。

FW大迫不在も、自身の点をスイッチに格下を一蹴した。「代わりに引っ張る意識より、めちゃくちゃゴールが大事という思いの方が強い。点を取り続けないとW杯に勝ち残れない」。次の4年は、予選の最初から最後まで主力で-。序盤のヤマ場タジキスタン戦を見据え、チーム得点王となった南野は後半16分にお役御免となった。【木下淳】