広島合宿中の東京五輪世代のU-22(22歳以下)日本代表が14日、広島と35分ハーフの練習試合を行い、0-1で敗れた。注目のMF久保建英(18=マジョルカ)は後半途中から出場。2列目の位置に入って決定的なチャンスを演出するなど、随所に光るプレーを見せた。敗戦に満足感はなかったが、17日の国際親善試合U-22コロンビア戦(エディオンスタジアム広島)へ期待感は高まった。

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実力者らしい存在感だった。0-1の後半19分、MF三好に代わって2列目の右で出場。「相手も間延びしてきていたので」と、緩んだスペースに入り込む得意のスタイルで攻めた。29分には中央へするすると寄ってボールを受けると、DFの背後へ走ったFW上田へ鋭いスルーパス。ラストシュートはわずかに右へそれたが、上田も「タケ(久保)は特に技術が高いので、ほしいところに出てくる」とその精度に舌を巻く1本だった。

ゴールの予感は続く。32分には右サイドからドリブルで一気にペナルティーエリア前へ。ゴール前へ走り込むFW前田へのパスは得点にはつながらなかったが、チャンスメーカーとしての役割を存分に果たした。スペースを見つけては右へ左へ立ち位置を変え、縦パスを引き出す。前半はなかなかリズムに乗りきれなかったチームの推進力となった。それでも「前の選手は点を決めることだったり、最終的な仕事はそこだと思う」と、満足の表情はなかった。

たとえ練習試合でも勝利を追い求める。「結果がこれから大事になっていくと思う。特にこのチームでは」。開催まで残り1年を切った、56年ぶりとなる自国五輪。そこでメダル獲得という目標を森保監督が公言する意味を重く理解している。「負けている時間帯で前の選手(久保と前田)が2人同時に入っている。まずは追いつくという交代だった」。ひょうひょうとした顔つきで振り返る姿には公式戦さながらの緊張感が漂った。

6月に初めてA代表に選出されてから継続的に招集されている。それでも「アピールしないと意味がないので。自分はピッチ上でいつもどおりのプレーを出すこと」と、どのカテゴリーのチームに呼ばれても変わらない姿勢を口にした。中2日で行われるコロンビア戦で、今度は勝利をもたらす-。五輪代表でも最年少の18歳は、貪欲に結果を求めている。【岡崎悠利】

<久保建英の近況>

◆初得点 10日のホーム・ビリャレアル戦の後半8分に左足で決めて、4大リーグ日本人最年少弾となる移籍後初得点を記録。「ゴールは僕に命を与えてくれるもの。毎晩あの瞬間を夢見ていた」。

◆初合流 12日にスペインから帰国し、A代表ではなく東京五輪組のU-22日本代表へ初合流。黒のシャツを身にまとい「今回の試合が勝負だと思う。しっかりとアピールしたい」。

◆初平和記念公園 13日の練習前に広島・平和記念公園を初めて訪れ、被爆体験証言者の講演を受講。「戦争はよくないというのが第一。当たり前の幸せをかみしめることが大切」。

◆初練習 13日からU-22日本代表の練習に初めて参加。ランニングなど30分弱の軽めの調整。「今回は東京五輪に向けたメンバー選考の一環。気を引き締めてプレーしないと」。