【バンコク(タイ)15日=杉山理紗】東京五輪世代のU-23日本代表は、勝利のないまま五輪予選を兼ねた大会を終えた。カタールとの第3戦で、またしても終盤に得点を許して1-1と引き分けた。1次リーグ3試合で1分け2敗の勝ち点1だった。ゴール前でのアイデア不足は、大会期間中に改善できず。終盤に失点する癖も直らず、後味の悪い五輪イヤーの幕開けとなってしまった。

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代わり映えのしない単調な試合で、五輪イヤー最初の大会から姿を消した。ポゼッションで優位に立ち試合を進めたが、カウンターで危ない場面を作るなど、過去2試合と同様の展開。後半28分にFW小川のゴールで先制したが、直後の34分にPKで同点とされて力尽きた。開幕前には「選手たちにはチームのコンセプトの中で、個々の良さを存分に発揮してもらいたい」と話していた森保監督だったが、大会を通して明確なチームコンセプトは浮かんでこなかった。

それでも森保監は会見で「チャンス作りながら決めることができませんでしたけど、戦う姿勢と相手を崩してゴールに向かっていく姿勢は良かったと思います。ピンチもありましたが反省を生かしながら、貪欲な気持ちを見せてくれたと思います」と選手の健闘をたたえた。

先発は第2戦と同様、直近の試合から6人を変更。この大会でキレのある動きを見せているMF相馬の右サイドを中心に相手ゴールに迫ったが、この日も中央での決定力が足りなかった。前半ロスタイムにはMF田中碧がルーズボールを鋭いスライディングで奪った場面で、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)を用いた判定で退場に。後半はMF旗手に代えて上り調子のボランチ斉藤を投入し、相馬を一列上げて急造4バックで戦った。

それでも、これまでになかった場面は見られた。相手選手の治療時には、各サイドで選手が集まり、積極的に意見交換。1次リーグ敗退決定を受けて第2戦の翌日には、今大会チームキャプテンを務めるGK小島を中心に選手ミーティングを実施するなど、ピッチ内でのリーダーが定まらない中、選手たちは現状を打破しようと努力していた。

それでも1分け2敗と未勝利に終わった。森保監督は「そこはしっかりと反省しなければいけないところだと思う。もう過去は変えられないので、ここからチームの成長、選手が成長してくれるために、この経験を生かしたい」。首都バンコクの会場も盛り上がりに欠け、最後まで東京五輪ホスト国としての意地を見せることはできなかった。